「誰も入らない」
それが全員で出した答えだった。
散々話し合った末の答え。何人かが自分が犠牲になると申し出たが、それを易々とよしとすることも出来なかった。
誰も選ばないは、目の前の白の処刑人に切られても良いと思ったわけではない。その選択が良い結果に繋がると信じたからだった。
白の処刑人は、その決定を受け目を細める。全員が話し合っている姿を黙して凝視していた。暖炉の部屋で聞いた白の処刑人の昔話。ここにいる者達は、奇しくもその話に出てくる友人と同じ選択を選んだのだ。
おそらくはもうすぐ六つ目の鐘が鳴る。それは感覚で分かる。処刑人としての役目を考えれば、鐘の音が鳴った瞬間、皆殺しにされる可能性が高い。はっきり言ってこの話し合いに到るまで、何を選べば正解などという確たるヒントはなかった。未知なる道を選ぶしかなかったのだ。