純粋に誰かを守りたいと決意した敬介にとって、こんなに馬鹿げた状況は理解できなかった。
ちょうどいい。
お前も始末しようと思ってたからな。
俺には、なんで仲間内で争わないといけないのかが分からない。
純粋に誰かを守りたいと決意した敬介にとって、こんなに馬鹿げた状況は理解できなかった。
お前、何言ってんだ?
誰が力を持っているか。
それが重要なんだよ。
斬震(ざんしん)
葉栗の両腕に纏われたのは、斬震という名の影の力。
肉眼では分からないが、刃の部分が小刻みに振動し、電動ノコギリのようになっている。
影術だと!!
大宮と同じで、何も知らねぇんだな。
連続して切りかかってくる葉栗の腕を、とっさに蹴り上げる。
同化してるシャドーじゃないな。
シャドーなわけねぇだろ。
光・術・士。
はっ!!
…………。
敬介の言葉を否定すると、初手とは違いゆっくりと歩み寄ってくる。
両腕を交互にストレッチでもするかのように振り、何度か斬撃を飛ばした。
その度に、敬介は自己防衛で体を包み込み、斬撃をかわそうとする。
…………。
じゃあ、どうして影術なんか使える?
本当に何も知らねぇのか。
なら、お前の引退記念に教えてやるよ。
引退だと……。
光術にはな、さらに上位の力である光影術ってのがあるんだよ。
光と影の中間地点にある力だから、その修行過程で影術も会得可能ってこと。
光影術?
そんな話、親父にも聞いたことないぞ。
まぁ、それを知ったところで意味ないがな。
話は終わりだ。
葉栗はため息をつくと、すぐに構えて敬介に襲い掛かってきた。
腱撃波!!
葉栗は両腕を高く上げると、腱撃波が当たる瞬間に下へと振り下げる。
おせぇよ。
くっそ。
またこの煙か。
土煙が消える前に、煙玉が投げ込まれ、またも視界が悪くなる。
どこから攻撃がくるか分からず、敬介は辺りを見回す。
形山!!
奴は、クナイを3段階で放ってくる。
気を付けろ!!
姿は見えないが、どこからか剛の声が聞こえてくる。
そんなこと言われても、この視界でどうやって……。
来た!!
眩しくて見えねぇ……。
ぐわっ!!!!
くそっ。
3段階ってことは、もう1回くるのか……。
2段階目の光のクナイに、敬介は吹き飛ばされてしまい、地面に倒れこむ。