光術と影術は表裏一体の力。
使えたとしても、そう不思議がることはないだろう。

葉栗の両腕には、三日月形の暗い刃が纏われていた。

その腕を自ら眺め、嘲笑うように剛の顔へと視線を移す。

葉栗、お前変わったな。

変わった?
変わったのはてめぇの方だろ。
誰ともつるむような奴じゃないと思っていたがな。

一瞬、剛は過去の自分を振り返りながら、敬介や美咲と過ごした日々も思い出していた。

俺にはやるべきことがあるからな。

剛は空を見上げ、月の位置を確認すると、再び葉栗を見る。

さぁ、時間もそんなに残っていない。
決着をつけよう。

お前は素手、俺は刃付き。
もう再起不能だろうな。

お互い戦闘の構えから、攻撃のタイミングをうかがう。

木から鳥が飛び立ち、二人は同時に駆け出した。

オラァッ!!

葉栗の先制攻撃に対し、瞬時に身を屈めてかわす。

くっ。

かわすときに屈んだはずみを生かして、そのまま葉栗の懐へと飛び込む。

剛のカウンター攻撃に、大きく仰け反ってかわす。

その際に、後ろに下げた足が土や砂を舞い上げる。

剛の更なる攻撃に、葉栗は3度も目の前へ斬撃を放ち、光の拳を打ち消した。

てめぇ……。

おらっ!!

くっ!!

沢山のクナイが剛の頭上から襲い掛かる。

吼波(こうは)!!

へっ。

ちっ。

3段構えのクナイか。

その通り。
普通のクナイの後に、光術のクナイ、影術のクナイと順に投げたのさ。

その戦闘スキルに、さすがの剛も光術だけで防ぎきることはできず、体のあちこちに切り傷を負ってしまう。

でも、それを理解したところで意味はないぜ。

葉栗は再び、剛の元へ駆け出す。

すると、その場へ。

大宮!!

形山。

突然の敬介の乱入に、思わず葉栗は足を止めてします。

また、こいつか。

敬介は、傷を負った大宮を見ると、すぐに葉栗に向かって声をかけた。

開始早々、俺達を狙ったのはお前だな。

ならどうした?

ここからは俺が相手ってことさ。

第3章--認証試練編--(90話)-第三試練⑪-

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