僕たちは繁華街の一角にある
商人ギルドへやってきていた。

というのも、
ここには長距離移動に
最適な乗り物についての情報があると
市場にいる商人さんに聞いたからだ。



まだ詳しくは分からないんだけど
それを使えば短時間で
遠くまで行けるらしい。

こういう交渉ごとには
セーラさんやクロードがいてくれたら
心強かったんだけどね。
 
 

トーヤ

すみません。
お訊ねしたいことが
あるのですが?

受付さん

なんでしょう?

トーヤ

遠くまで
速く快適に移動できる
乗り物があると聞いて
やってきたのですが。

受付さん

あぁ、飛行機の
ことでしょうか?

トーヤ

飛行機?

受付さん

空を飛んで移動する
乗り物のことです。
私たちはアーゴと
呼んでいます。

トーヤ

空を飛ぶんですかっ!?

シンディ

トーヤ、
ここでいう空って
この水中を指してるから
間違えないでね?

トーヤ

あ、そうか。

 
 
この世界の人たちにとって、
水が空気であり空なんだ。

ということは、
水中を高速で移動できる
船みたいなものかな?



確かクロードに聞いたことがあるけど
僕たちの世界には
海に潜って進む『潜水艇』という
船があるんだとか。

そういう類のものなのかな?
 
 

受付さん

アーゴは短時間ですが
宇宙を飛行することも
出来ます。

トーヤ

へぇ、そうなんですか!

 
 
この世界での宇宙ということは
僕たちの世界に置き換えてみると
それこそが空中ってことになるのかな?

もしそうだとしても水中と空中の
両方を進むことが出来るんだから
すごいと思う。
 
 

受付さん

ただ、アーゴは
生き物なのです。
彼らにも
意思があります。

受付さん

彼ら自身に
認められた者しか
乗ることはできません。

カレン

生き物なんですか!

サララ

馬に乗るのと
似たような
ものでしょうかねぇ。

トーヤ

あ、そうだね。

 
 
乗り物というから
もっと機械的なものを想像していたけど
方向性が全然違っていたなぁ。

しかも彼らに認められないと
乗せてもらえないのかぁ。
 
 

受付さん

それとタイミングが
少し悪かったですね。

ビセット

というと?

受付さん

今の季節はその多くが
北へ旅立ってしまった
あとなのです。

受付さん

果たしてコンタクトが
とれるかどうか。

トーヤ

えぇっ!?

受付さん

これから移動する者も
まだわずかに
いるとは思いますが。

ビセット

回遊する
種族なのですね?

受付さん

そういうことです。

 
 
やっぱり一筋縄ではいかないなぁ。

まずは数少ない彼らを見つけ、
認めてもらわないと乗せてもらえない。
 
 

トーヤ

あの、僕たちは
北へ行きたいんですけど
アーゴ以外に
速く移動する手段って
ありませんか?

受付さん

転移魔法を使える方に
頼むというのは
いかがです?

受付さん

ま、使い手は
滅多にいないですけどね。

トーヤ

うーん……。

受付さん

やはり現実的には
アーゴ以外には
ないのではないかと。

 
 
確かに僕たちの世界でも
転移魔法を使える人は
限られているもんなぁ。

となると、
なんとかアーゴに接触して
乗せてもらえるように交渉するしか
ないだろうなぁ……。
 
 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
トーヤたちの冒険は
まだまだ続く!




――からの、
サイト復活で連載も
続きます!
(2021年7月1日追記)
 
  

第341幕 高速潜水艇アーゴ!?

facebook twitter
pagetop