水の世界に到着した僕たちは
その地点から
一番近くにある町へと移動した。


ちなみにこの町はマビーというらしい。

まずは色々と情報を集めないとなぁ。
 
 

シンディ

さて、この町では
何をしましょうか?

ビセット

やることは
この世界で起きている
異変についての情報収集。

ビセット

それと乗り物の
調達ですね。

サララ

水の中だけに
馬車を――

 
 
その時、
ソニアさんはサララの言葉を遮り、
死んだイカのような目をして
僕の方へ視線を向けてくる。

ま、何を言おうとしているのか、
想像はつくけど……。
 
 

ソニア

トーヤ、
少しサララの口を
塞いでなさい。

トーヤ

は、はい……。
分かりました……。

カレン

えぇっ!?
そそそ、それって
キスでってことですか?
口で口を塞ぐんですかっ?
トーヤ、それはダメっ!

 
 
カレンは激しく動揺しながら両手を広げ、
僕の前に立ち塞がった。

顔は怒っているような泣いているような
複雑な感じ。
僕はどうすればいいんだ?
 
 

トーヤ

あ……えーとぉ……。

ソニア

カレン、慌てすぎ。
トーヤが手で
サララの口を塞ぐの。
決まってるでしょ。

カレン

あ……。

カレン

そ、そうですよね。
あはははっ♪

 
 
ようやく冷静さを取り戻したカレンは
照れくさそうに笑って誤魔化した。

カレンは僕のことになると
周りが見えなくなることがあるから
注意していないとなぁ。
 
 

サララ

水の中だけに
鱚でキスをして
私の口を塞ぐん――

サララ

んぐぐ……。

トーヤ

サララ、
落ち着こうねっ♪

サララ

んぐんぐ……。

 
 
僕は素速くサララの背後に回り込んで、
両手で彼女の口を塞いだ。



なんだか手に伝わってくる
ホッペや唇の感触が
赤ちゃんみたいに柔らかい。

それに髪の毛がサラサラで
いい匂いがする。
水の中にいるとは思えない感覚だなぁ。

これはこれで照れくさい気もする。




こんなことを考えていたら
デリンさんに怒られちゃうかな?

デリンさん、なんだかんだ言って
サララのことを
大切に思ってるみたいだもんね。
 
 
 
 
 

 
 
 
 
 

デリン

ハックション!
くそ、誰かが
俺の噂をしているな?
それとも風邪か?

 
 
 
 
 

 
 
 
 
 

カレン

サララって
こんなにダジャレが
好きだったかしら?

ビセット

思った以上に先が
思いやられますねぇ。

 
 
確かに地の世界の時とは
別の意味で大変かもしれないなぁ。

地の世界の時、
好戦的なティアナさんに
頭を悩まされたことがあったけど
ルシードがブレーキ役に
なってくれていた感じがするもんなぁ。



ただ、サララのおかげで
ソニアさんがツッコミ役に
回らざるを得なくなっていて
暴走はしにくいかも。

それはそれで助かるよなぁ。
 
 

ソニア

ん? トーヤ、
また私に対して
失礼なことを
考えてない?

トーヤ

そんなこと
ないですよぉ。

トーヤ

それよりも
これからどうするか
決めましょう。

ソニア

じゃ、適当に町を
うろついて、
さりげなく情報収集を
してみましょう。

カレン

ですね。

 
 
こうして僕たちは市場や食堂、
酒場などを巡って情報収集をした。

するとやはり異変は起きているみたいで、
例えば急激な水温の上昇や
群発地震が起きているなど
いくつかあるようだった。




やっぱり水の欠片が元凶なのかなぁ?

そして移動するための乗り物に関しても
使えそうなものがあると
分かったのだった。
 
 

 
 
 
次回へ続く!
 

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