石化したみんなを元に戻すためには
石化させたテムート自身が
地の欠片の力を行使しなければ
ならないという。



でもテムートに地の欠片を渡すのは
リスクが高すぎる。
だからといってこのままだと
カレンたちは石化したまま――。

どうすればいいんだ?
 
 

テムート

さぁ、地の欠片を渡せ!

ソニア

……お断りよ。
アンタはこのまま
私に殺されるの。
それを理解しなさい。

テムート

では石化したヤツらを
見捨てるというのか?
出来るのか、貴様らに?

ティアナ

見捨てるわけ
ないじゃん。
そうね、冥土の土産に
見せてあげる。

ティアナ

我が師・ギーマが
作りだした秘薬の力を!

 
 
ティアナさんはポケットの中から
小瓶を取り出した。
中には銀色に輝く液体が入っている。



見た目は水銀のようにも見えるけど
かすかに魔法力を感じる。

これはどういう薬なんだろう?
僕も見たことがない薬だ。
書物などでも思い当たるものはない。



ティアナさんの話から察すると、
ギーマ老師が開発した
石化解除に効果のある薬なんだろうな。

調薬方法はどんな感じなんだろう?
原材料と配分は?
こんな時に不謹慎かもだけど、
興味の尽きない薬だ。



そしてティアナさんはその液体を
石化したルシードの頭上に
数滴垂らした。

するとその液体はルシードの体に
染みこんでいき、
程なく淡い光とともに石化が解けていく。
 
 

ルシード

う……あ……。

テムート

バ、バカなっ!
石化が解けただとッ!?

ルシード

助かったぜ、ティアナ。

ティアナ

ふふ、感謝しなさい。

 
 
ティアナさんは続けて
カレンとエルムにも
その液体を垂らし、
ふたりの石化も解除したのだった。

その様子を狼狽と混乱に満ちた様子で
眺めているテムート。
瞳の奥には絶望の色が見える。
 
 

テムート

伝説の薬草師ギーマ。
いくらヤツでも
地の欠片の力を
排除する薬を
作れるはずがない!

テムート

なぜならこれは
世界の理に通じる
力だぞっ!?
それを超越するなど――っ!?

 
 
その時、テムートは大きく息を呑んだ。

そしてまるで何かを悟ったかのように
目を開き、唇をワナワナさせる。
 
 

テムート

まさかッ、
ギーマは禁――

 
 
 
 
 

 
 
 

 
 
 
 
 

ソニア

…………。

 
 
不意にソニアさんは、
魔法で作りだした真空の刃で
テムートの首を斬り落とした。

床には苦悶の表情を浮かべたままの
テムートの頭部が転がって止まる。
 
 

ソニア

お喋りはそこまで。

トーヤ

ソニアさん……。

 
 
今、テムートは何かを言おうとしていた
ような気がするんだけど。
ソニアさんはそれを無理矢理に遮った
感じがする。




…………。

ギーマ老師にはまだ僕の知らない
何かの秘密があるのかも。
でもだとすると、
お父様も何か関係がありそうだ。

元の世界へ戻ったら
ギーマ老師に聞いてみようかな……。
 
 

ティアナ

トーヤ、あなたには
あとでこの薬の製法を
伝えるわ。
どんな石化からも
回復する薬。

トーヤ

あ……はい……。

ティアナ

良かったらカレンも
習得するといいわ。

カレン

はい。

 
 
こうして僕たちはテムートを倒し、
地の世界のバランスは正常に戻った。

これで全世界の平和に向かって第一歩。
とりあえずは
僕たちの世界も地の世界も
平穏な方向へ向かっていくことだろう。

もちろん、まだまだ先は長いけど。


それに僕にはこの世界のことで
まだ気がかりなことがあるし。
 
 

 
 
 
次回へ続く!
 

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