大ピンチの僕を救ってくれたのは
なんとティアナさんとソニアさんだった。
地の欠片もソニアさんがテムートから
腕ごと奪ったから、
石化攻撃を受けることはないと思う。
大ピンチの僕を救ってくれたのは
なんとティアナさんとソニアさんだった。
地の欠片もソニアさんがテムートから
腕ごと奪ったから、
石化攻撃を受けることはないと思う。
大丈夫、トーヤ?
は、はい。
あんまり大丈夫じゃ
ないですけど
一応は助かりました。
ま、私の回復薬が
よく効いたみたいで
良かったわ。
おふたりとも、
どうしてここへ?
フィッチが嫌な気配を
感じたっていうから
町の方は彼に任せて
引き返してきたのよ。
で、私と合流して
ふたりがかりで
ハイブリッドモンスターを
倒してきたってワケ。
ま、ティアナとふたりなら
思っていたより
楽に倒せちゃった。
バカな!?
あのキメラを
軽々と倒したというのか?
僕たちの会話を聞いて
テムートは驚いたような声を上げた。
信じられないといった顔をしている。
やっぱりそれなりに強力な
モンスターだったんだね。
それを倒してしまうんだから
ソニアさんとティアナさんはすごい。
ただ、その直後にソニアさんは
冷ややかな視線をテムートへ向けて
言い放つ。
アンタ、地の欠片の力を
使ったでしょ?
それが何を意味するか
忘れてない?
っ!?
テムートはハッと息を呑むと
目を見開きながら唇を震わせていた。
何か決定的な失策があったのかな?
その顔、
やっと気付いたみたいね。
そういうこと。
それがアンタの敗因。
くっ……。
ハイブリッドモンスターは
地の欠片の
エネルギーで動いてる。
つまりアンタが
地の欠片を使えば
ハイブリッドモンスターへ
向けられる力は下がり、
全ての能力が低下する。
そっか!
おそらく地の欠片が行使できる
力の総量には限界があるんだ。
電球を直列に繋げると
1個あたりの明るさが暗くなるのと
同じような現象が起きるに違いない。
だからテムートが地の欠片を使うと、
今までハイブリッドモンスターへ
割かれていた力は下がってしまう。
その隙を逃さずに
倒させてもらったわ。
ずっと万全の状態で
襲って来られたら
さすがの私も
苦労しただろうけどね。
アンタの戦略ミスよ。
ちっ……。
ううん、
それだけトーヤたちが
手強かったということね。
ティアナの助力もあったし
つまり私たち全員の勝利。
く……くくく……
あはははははっ!
勝った気になるのは
早いぞ!
突然、テムートは大笑いをした。
まだ負けていないとでも
言わんばかりの態度だ。
それはハッタリなのか、本気なのか。
もしかしてまだ何か奥の手でも
あるのだろうか?
あるいは追い詰められて
精神が壊れたのか?
どういう意味?
石化攻撃なら無駄よ。
私たちは
石化を防ぐアイテムを
装備してるからね。
貴様らは無事でも
石化したヤツらは
どうかな?
そいつらは
私が地の欠片を使って
その力を行使しなければ
元には戻らぬ。
どんな回復薬や
アイテムでも
元には戻せん。
へぇ、そうなんだ?
さぁ、地の欠片を渡せ。
そいつらを元に
戻したければな。
――そうなのだ。
それが本当なら確かにテムートにも
逆転の目はある。
僕たちが石化したみんなを
見捨てられるなら話は別だけど、
その選択が出来ないことを
彼はよく分かっている。
だからといって地の欠片を渡せば、
石化以外の何らかの能力を使って
攻撃してくるかもしれない。
そもそもみんなを元に戻す確証なんて
ないわけだし。
どうすればいいんだ……。
次回へ続く!