僕とエルムの攻撃がテムートにヒットし、
甚大なダメージを与えた。

もちろん、これもカレンとルシードの
攻撃があってこそ。
全員が力を合わせたから
戦いを有利に進められているんだ。



このままの勢いで一気に押し切るぞ!
 
 

テムート

く……う……。

カレン

どうしたの?
腕が落ちたんじゃない?
それとも老いかしら?

ルシード

しばらく実戦から
離れていたんだろうな。
戦いの勘が
鈍っている感じだな。

テムート

ぐ……。

 
 
テムートはロングソードを
杖の代わりにして
体を支えながら立ちあがった。

ただ、その足下はふらつき、
形勢が不利なのは誰の目にも明らかだ。
 
 

テムート

お嬢、成長しましたな。
ルシードも技に
冴えが見られる。

ルシード

褒めても何も出ないぜ?

テムート

それに後衛のふたり、
本人の実力は
クソのようだが
武器とブレスは侮れぬ。

テムート

失礼した。
舐めすぎていたようだ。
本気で戦わせてもらう。

 
 
テムートは懐から
宝珠のようなものを取り出して掲げた。


それは夕陽のような輝きを放っていて、
どんな力があるのかは分からないけど
見ているだけでも美しい石だ。

まさかあれが地の欠片っ!?
 
 

テムート

地の欠片よ、
我に力を!

 
 
 
 
 

 
 
 
 
 

トーヤ

うくっ!

 
 
テムートの呼びかけに応えるように
地の欠片は一段と眩い光を放った。

そのあまりにも強い光に
僕は思わず顔を背けて目を瞑る。



それから程なく
地の欠片から放たれていた光は収束し、
代わりにテムートの体が
淡い光に包まれていた。
 
 

ルシード

何をしたんだ?
体は光に
包まれている
みたいだけど。

エルム

地の力を
得たみたいですから
強力な防御力を
身につけたとかでは?

トーヤ

なるほど……。

テムート

どうした?
かかってこぬのか?

 
 
さっきとは打って変わって
余裕の笑みを浮かべているテムート。
まるで僕たちを挑発しているかのようだ。


なんだろう、この豹変ぶりは?
嫌な予感がする……。
 
 

ルシード

今からトドメを
刺してやるよぉっ!

カレン

やぁああああぁっ!

テムート

……ふ。

 
 
ルシードとカレンは
テムートに斬りかかっていった。

でもテムートは棒立ちのままで、
剣で受け流すことも
避ける素振りも見せない。


そしてふたりの振り上げた剣が
テムートに迫ろうかという時、
とんでもない事態が起きたのだった。
 
 

トーヤ

あぁっ!?

 
 
 

ルシード

なっ!?

カレン

っ!?

 
 
 

テムート

ククク。

 
 
 
 
 

 
 
 
 
 

ルシード

…………。

カレン

…………。

トーヤ

カレン!
ルシード!

 
 
なんとカレンとルシードは
石になってしまった。
まるでメデューサやコカトリスの
呪いにでもかかったみたいに。

そのまま床に転がって
ピクリとも動かなくなってしまう。


こんな奥の手があったとは……。
 
 

 
 
 
次回へ続く!
 

第326幕 テムートの奥の手

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