私もこんなところで負けられない理由があるんです!

それは、私も同じ。
でもね。
小さい頃から光術士になるために、修行してきた私とは比べ物にならないわ。

扇吹雪!!

ふぅ

吹雪のように視界を遮られるため、位置を特定されないように、小刻みに飛び回る。

本物じゃないのに、雪のように冷たく感じる。

それっ!!

でも、飛んでくる攻撃の方向が定まっていないから、あの人にも正確な位置は掴めていないし、見えていないんだわ。

光の粒が美咲の頬を、本物の雪のようにくっつき、融けるように消えていく。

この視界の中、いつまでもかわせるかしら。

私も光力が限界に近い。
だったら、あの技を。
意味があるのは、最初の1回だけ。

あっ!!

やっぱり、私の方が上手だったみたいね。
ふふ。

雪は、口元を扇で隠しながら微笑んだ。

さすがにこの森に放置は可哀そうだから、助けてあげようかな。

両手で髪の毛をさっとなでると、美咲が倒れていると思われる方に歩み寄って行く。

さすがに、これじゃあ見づらいわ。

いたいた。

吹雪を消し去ると、10m先に背を向けて横たわっているような姿が見えた。

え?

雪の目の前で、美咲の体が羽のようになり消え去った。

羽の舞-羽刃(はねやいば)-

驚く雪の首近くには、逆手に持たれた光の羽が突き付けられていた。

背後にはその羽を右手で持つ美咲が立っていた。

あれはフェイクね。

その通りです。

まるで忍者……。

私の勝ち、ですよね?

降参よ。

負けを認めた雪は、両手をあげた。

吹石さんが負けた?

雪との戦闘開始から5分も経たないうちに、美咲が早々と勝利した。

第3章--認証試練編--(88話)-第三試練⑨-

facebook twitter
pagetop