兵士に変装して城内を順調に進んでいた
僕たちだったけど、
とうとう兵士に怪しまれ、
足止めを食らってしまった。
しかもその騒ぎを聞きつけ、
ほかの兵士たちも集まってきて
すっかり囲まれてしまう。
もはや逃げ道はない。
でもこうなった元凶であるソニアさんは
全く動じていない。
やれやれ……。
兵士に変装して城内を順調に進んでいた
僕たちだったけど、
とうとう兵士に怪しまれ、
足止めを食らってしまった。
しかもその騒ぎを聞きつけ、
ほかの兵士たちも集まってきて
すっかり囲まれてしまう。
もはや逃げ道はない。
でもこうなった元凶であるソニアさんは
全く動じていない。
やれやれ……。
集まってきた
集まってきたっ♪
なんで喜ぶかな、
この人は……。
じゃ、片付けますか。
っ!
ソニアさんが目を見開いて
気合いを入れた瞬間、
周囲の空間が歪んだような感覚を覚えた。
衝撃波みたいなイメージかな?
でも何のダメージも振動もないし、
周囲の壁やものに影響が出た様子もない。
唯一の変化といえば、
波紋のように広がっていった
それに触れた兵士が
バタバタと倒れていったこと。
あっという間に周囲は沈黙し、
僕たちは戸惑いつつ息を呑んで
その様子を呆然と眺める。
なんですか……
これ……。
私たちに敵意を持つ者を
お掃除しちゃうぞ衝撃波。
――みたいな?
そういうヤツ。
適当だな……。
要するに敵意を持つ者の
意識に左右するの。
あと数時間は
失神したままでしょう。
だから仲間である
トーヤたちには
何ともないでしょ?
あ、そうですね。
ただ、ある程度の
胆力がある相手には
通用しないのよね。
じゃ、ここにいた
兵士の多くは
ザコだったということか。
そうなるわね。
なるほど……。
ソニアさん自身の力が強大だから
余裕がある態度をしていたのかと
思っていたけど、
それだけじゃなくて
こういう便利な技も
持っているからだったんだね。
これは今後の冒険でも役に立つぞ!
素晴らしい技ですね。
こういう事態の時は
いつも使いましょうよ。
あ、僕も
そう思ってたところ!
ヤダッ!
この技、疲れるから。
それに呆気なくて
つまんないし。
今回はザコバトルが
メンドいから
使っただけだし。
気まぐれねぇ。
そんなことより
さっさと皇帝ちゃんを
ぶっ倒しに
行きましょうよ。
どんな風にいたぶって
苦しませてやろうかしら。
それが目的かよ……。
やっぱ狂ってやがる。
あははっ、
褒めてくれてアリガト♪
褒めてねーし……。
こうして兵士たちを一掃した僕たちは
程なく皇帝の間へと辿り着いた。
さすがに近衛兵たちは
さっきのソニアさんの技を
耐えきったのか
あるいは有効圏外だったのか、
玉座に座っている皇帝らしき人物を
囲うようにして守っている。
それなりの強さがあるのは
確かだろうなぁ。
…………。
…………。
こいつ……。
訝しげな顔をして呟くソニアさん。
どうしたんだろう?
何か気になることがあるのかな?
皇帝ちゃん、死んでる。
近衛兵たちも。
へっ?
でも動いてますよ?
アンデッドって
ことですか?
それともちょっと違う。
死体を素体にして
異世界の技術を組み込んだ
自動人形みたいなものね。
キメラとも違うのか?
広義ではキメラに
入るかも。
でもそこに機械が
組み込まれてる感じ。
なんとも
中途半端ですね。
厄介そうな相手なのは
間違いないようですが。
ハイブリッド自動人形
って感じかしら。
名付けるなら
アンデッドキメラマシン。
セーラなら
直感的に理解して
くれるでしょうけど。
いずれにしても
どんな戦い方をしてくるか
分からないから
注意しないと。
……そうだね。
確かに最上級に嫌な予感がする。
根拠はないけど、直感でそう思う。
そもそもどんな戦い方をしてくるか
分からないし、
実力だって分からない。
とにかく情報がなさすぎる。
ソニアさんは何か知っているかもだけど。
ただ、その雰囲気から察するに
今までの敵と比べて
別格にヤバイ相手なんだろうな。
次回へ続く!