盗賊ギルドから派遣された案内役は
首都の門番をしていたミドルさんだった。

彼はギルドメンバーで
普段は間者として政府側に潜り込み
諜報活動をしているそうだ。

その身のこなしや盗賊技能の片鱗を
目の当たりにした感じだと
すごく頼りになりそう。
 
 

ティアナ

あんたね、
非喫煙者に対して
少しは配慮しなさいよ。

ミドル

あん?

ティアナ

特にトーヤやエルム、
カレンのような若い子には
その吐き出した煙による
健康への悪影響が
大きいんだから。

ミドル

ふむ、お前も
薬草師みたいだな。
うるっせーな。

ミドル

トーヤみたいに
黙って呼吸器系の
薬を渡すような
可愛げはねーのかよ?

ティアナ

あいにく私は
トーヤほど甘くないの。

ミドル

へいへい。
以後は注意するよ。

 
 
 
 
 
ミドルさんは小さく舌打ちをすると、
渋い顔をしながらタバコを指で摘み、
それを反対側の手のひらに生み出した
火の魔法で完全に燃やし切る。



そっか、ここに誰かいたという証拠を
残さないようにするためだね。

吸い殻が残っていたらバレちゃうもんね。





……ま、もし短時間だったら
臭いでばれるけど、
そこは気にしないみたい。

神経質なんだか大雑把なんだか
よく分からない人だなぁ。

でもそういう掴み所のなさも
ミドルさんの個性なんだろうけど。
 
 

ミドル

んじゃ、
地竜の集落へ向けて
さっさと出発するか。

トーヤ

その前にミドルさんが
ギルドメンバーだという
証拠を見せてください。

ミドル

ほぅ、慎重だな。
でもまぁ、
それぐらいは当然か。

ミドル

それに逃げようとしても
結界の中じゃ、
どうにもならねぇし。

トーヤ

結界?

ミドル

俺の存在に気付いた直後、
ここにいる誰かが
発動させたらしい。
すぐに分かったよ。

ソニア

あらぁ、
なかなか鋭いのね。
誰がやったのかしらね?

 
 
ソニアさんだな……。

でもあんなに露骨に態度で示して
ばれるようにしたということは
ミドルさんに対しての牽制という
意味合いもありそうだ。

それくらいの芸当は
簡単にやれるんだぞ――ってね。
 
 

ミドル

ふっ、あんたら
見かけ以上に
ヤベー連中だな。
敵じゃなくて良かったぜ。

トーヤ

それはお互い様ですよ。

 
 
 
 
 
 
 
 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
その後、僕たちは
ギルドマスターから渡された割り符を
照合させて、身分を確認した。

そして後顧の憂いがなくなったところで
お互いに自己紹介をすると
炭焼き小屋を出て森の中を歩き出す。



でも……
これはちょっとおかしいような……。
 
 

ミドル

よーし、
迷子にならないように
しっかり付いて来いよ。

トーヤ

それはいいんですけど
方向を間違ってませんか?

カレン

そうよね。
街道とは反対方向だし。

ミドル

あん?
黙って付いて来れば
いいんだよ。

ティアナ

アンタが
方向音痴だったら困るから
言ってんの!

ルシード

罠……じゃないよな?

ソニア

私たちはどこかに
誘い込まれて、
百人単位の兵士とかで
ボコられるのかしら?
きゃー、どうしよー♪

ルシード

ソニア、絶対に
楽しんでるだろ?

ティアナ

ぶっ倒して
ストリス解消とか
そういうことを考えて
いるんでしょ。
いつものことじゃん。

ソニア

あたりー!

ミドル

……ソニアが一番
ヤベーな。
薄々気付いてたが。

ミドル

トーヤ、
もしもの時は
薬でも何でも使って
なんとかしろよな。

トーヤ

てはは……。

 
 
ミドルさんには悪いけど、
僕の力でソニアさんをなんとか出来る
自信はないなぁ……。


まぁ、もちろん奥の手はあるけど
それを使うと彼女は
しばらく戦闘不能になって
パーティ全体の戦力が激減。

それはそれでピンチになりかねないから
なるべく使いたくないんだよね。
 
 
 

 
 
その後、僕たちはミドルさんを信じて
静かに彼の後ろを付いていった。

レンジャーのルシードが
僕たちの道固めをしてくれているから
少しは歩きやすい。


でもあまり過剰にやると痕跡が残るから
ミドルさんはそういう行為をするのを
良くは思っていないみたい。
 
 

 
 
 
次回へ続く!
 

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