ソニアさんに襲いかかった荒くれ者は
バトルアックスが受けた衝撃に
耐えられず
自分の腕の方が大ダメージを
受けたようだった。

見た感じ、確実に骨は折れている。
筋肉も断裂してるだろうな……。
 
 

ソニア

あら?
自滅しちゃったの?
もう少し筋肉を
鍛えておきなさいよ。
つまんなーい。

うぎゃあぁ……。

ソニア

でもこれで私の実力は
身をもって
理解できたわよね?

ソニア

自業自得よね。
私たちを試すようなことを
言い出さなければ
良かったのにね。

あぐ……うぐ……。

ソニア

実力差を見抜けず
ケンカを売る相手を
間違えたのが
全ての原因よ。

ソニア

……痛い?
命の灯火を消して
痛みと苦しみから
永遠に解放して
あげましょうか?

 
 
ソニアさんの瞳は氷のように冷たい。

軽く拳を握りしめ
床にへたり込んでいる荒くれ者に
じりじりと歩み寄る。
 
 

 
 
 
 
 

ひっ……ひぃぃ……。

 
 
ソニアさんに睨まれた荒くれ者は
もはやすっかり戦意を失い、
失禁しながら泣き叫んでいた。

周りにいる人たちも
真っ青な顔になって後ずさりしている。
 
 

カレン

ソニアさん、
脅すのは
それくらいに……。

ソニア

これは脅しじゃないわよ。
報い? 罰? 制裁?
まぁ、そんな感じ。

カレン

やりすぎですよ……。

 
 
カレンは頭を抱えている。
僕も同じ気持ちだ。

でも冷静に考えてみると、
ソニアさんは何もしてないんだよね。
こういう場合、誰が悪いんだろ?
 
 

ティアナ

トーヤ、カレン。
あの人の治療を
しましょう。

トーヤ

あ、はい

カレン

そうですね。

 
 
ティアナさんに促され、
僕とカレンは怪我をした荒くれ者の
治療をおこなった。

あとは薬を継続的に服用して
安静にしていれば
数日もすれば元通りになると思う。

……リハビリは必要になるかもだけど。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

  
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
その後、明らかにその場にいた人たちの
僕たちに対する態度が豹変した。
気を遣われているというか、
丁重に扱われているというか。

そしてニセベガーによって
さらに奥の部屋へ案内され、
そこにいた人に紹介される。
 
 

グロフ

初めまして。
私がシーフギルドの
ギルドマスターをしている
グロフと申します。

トーヤ

トーヤです。

 
 
僕たちはグロフさんに自己紹介をした。

彼は物腰が落ち着いていて紳士的だ。
ただ、その静けさの中に
計り知れない強さのようなものを感じる。
 
 

グロフ

先ほどギルド内で
メンバーが失礼を
したようで。
申し訳ありません。

トーヤ

いえ……。

グロフ

実は私には先代から
報告が来ています。
ギルド証を持った者が
この町に来るので
よろしく頼むと。

トーヤ

先代?

グロフ

カリブ殿のことです。
彼は前ギルドマスター
なのですよ。

トーヤ

そうなんですかっ!?

グロフ

色々あって引退し、
今はハテノ村で
暮らしていますが。

 
 
そうだったのか……。
カリブさんが元々はシーフギルドの
ギルドマスターだったとは。

教えてくれれば良かったのになぁ。
 
 

 
 
次回へ続く!
 

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