地下室にいた荒くれ者のひとりが
僕たちに対して力試しを申し出てきた。
ソニアさんはやる気満々だけど
相手が大怪我しそうだしなぁ。
どうすればいいのかな……。
地下室にいた荒くれ者のひとりが
僕たちに対して力試しを申し出てきた。
ソニアさんはやる気満々だけど
相手が大怪我しそうだしなぁ。
どうすればいいのかな……。
相手を死なせずに戦えます?
急所だけは避けて
攻撃してくださいよ?
善処しまーすっ♪
なぁ、それなら
俺やカレンが戦った方が
良くないか?
カレンはダメ!
顔や肌に
怪我をしたらどうするの!
トーヤ……。
それにルシードだと
勝っても当たり前すぎて
インパクトないよ。
では、僕はどうです?
あの技は命を削るから
余程の時じゃない限り
メインで戦うのは避けて
エルムはサポート役に
徹してほしい。
はい。
この場はソニアさんが
適任ということで
お任せします。
任されましたっ♪
ソニアさんはこれから格闘ごっこで
遊ぼうとでもしているかのように
はしゃいで前に出た。
特に武器は持たず、
しかも隙だらけで棒立ちしている。
お前ら俺を
バカにしてるのか?
さっきから
話を聞いてれば
ふざけやがって……。
ふざけてないよ?
客観的な分析を元に
事実を述べてただけ。
相手の実力が
見抜けないなら
あなたは
その程度だってこと。
……ホントに死ぬわよ?
舐めやがって!
ぶっ殺してやる!
あら嬉しい。
本気で来てね。
少しくらいは
楽しませてね。
テメェ……っ!
額に血管を浮き上がらせるほど
激高した荒くれ者は
壁に立てかけてあった
巨大なバトルアックスを手にとった。
それはエルムと同じくらいの
大きさがあって
軽々と振り回している。
空気を切り裂く音が生々しい。
あんなのを食らったら
僕なんかじゃ体が簡単に真っ二つに
されてしまいそうだ。
それにしてもソニアさんが戦う姿、
初めて見ることになるかも。
せっかくだから実力の一端を
計らせてもらおうかな。
ハンデとして
最初の一撃は
食らってあげる。
その言葉、
後悔させてやるよぉ!
そう言いきるか否かという間に
荒くれ者はその体の割に俊敏な動きで
ソニアさんに襲いかかった。
振り上げたバトルアックスが
唸りを上げてソニアさんの首に迫る。
なんか今になって本当に大丈夫なのか
不安になってきた。
ソニアさんの頭がスポンと飛んで
胴体とサヨナラしちゃったらどうしよう。
インパクトの瞬間、
その場に金属が砕けるような音が響いた。
驚くべきことにソニアさんの首に
バトルアックスの刃が当たると
バトルアックスの方が粉々に砕けたのだ。
床にはボロボロと金属片が落ちる。
そしてその衝撃をまともに食らった
荒くれ者の腕はひしゃげて、
大きな悲鳴を上げた。
一方、ソニアさんの首には
かすり傷ひとつ無くて
彼女自身は何事もなかったかのように
微笑んでいる。
次回へ続く!