ニセベガーは
ギルドマスターを紹介すると言って
どこかへ向かって歩き出した。
その反応に僕たちは戸惑いつつも
ゆっくりとあとを追う。
ニセベガーは
ギルドマスターを紹介すると言って
どこかへ向かって歩き出した。
その反応に僕たちは戸惑いつつも
ゆっくりとあとを追う。
どこへ行くんだろうね?
分からないけど
今はついていって
みましょう。
やがてニセベガーは墓地内の
特に目立ったところのない墓石の前で
立ち止まった。
見た感じ、普通の墓石だけど。
もしかしてギルドマスターって
すでに亡くなっている人なのかな?
アンデッドでも
呼び出す気?
その死人が手がかりを
知っているとか?
ターンアンデッドなら
得意だから
用が済んだら浄化して
あげましょう。
ソニアさん……。
こういう時のソニアさん、不穏だなぁ。
しかも楽しそうだし。
やっぱり基本は好戦的なのかな?
副都ではグランの手下たちを
一掃したらしいし。
黙って見てな。
ニセベガーは墓石に近付くと
僕たちに見えないような角度で
その墓石に何かをしているようだった。
するとそれから程なく
ゴゴゴと低い音がして
墓石が横にスライドし、
地下への隠し階段が現れる。
この下だ。
俺は墓石を閉めるから
最後に降りる。
罠じゃ
ないでしょうね?
あんたらが
変な気を起こさなければ
無事に帰れるだろうさ。
行こうよ。もし危害を
加えてきそうなら
ソニアさんにこの一帯ごと
魔法か何かで
吹き飛ばしてもらえば
いいだけだから。
りょーかいっ!
トーヤも意外に過激ね。
ソニアさんほどじゃ
ないですよ。
今の気持ちは半分冗談、半分本気。
ニセベガーやその一派に
少しはハッタリを見せておかないと
不利に動くかもしれないから。
それに階段を降りた先は
狭い密閉空間だろうから、
いざという時は
以前に副都の水路でやったみたいに
痺れ薬で僕以外の全員を行動不能に
してしまえばいい。
こうして僕たちは階段を降り、
地下通路へと辿り着いた。
そこを少し進むと空間が開け、
地下室へと到達する。
そこは酒場のようになっていて
食べ物やお酒の匂いなどが充満し、
たくさんの荒くれ者たちが
賑やかに過ごしている。
でも僕たちがそこに着いた途端、
一斉に視線がこちらに向いて、
その場の空気に緊張が走った。
何者だ、そいつら?
カリブさんの
知り合いらしい。
持っているギルド証も
本物だった。
それは確かか?
間違いない。
それにコイツら
面白いからマスターに
会わせようと思って
連れてきた。
面白いとは?
これから本気で
帝都を潰しに行くらしい。
このガキどもだけで?
ぶぁっはっは!
その場にいた全員が
蔑むように僕たちを見ながら大笑いした。
なんだか気分が悪い。
でも逆の立場だったら
そう想う気持ちも分からないでもない。
たった数人で
国を制圧するに等しいことを
しようとしているんだから。
じゃ、俺が試験してやるよ。
俺を倒せたら
ここを通してやる。
誰が相手だ?
トーヤ、
私があの脳筋おぢさんを
殺っちゃっていい?
うーん……。
ソニアさんなら
負けることはないだろうけど
だからこそ心配なのは相手だよね。
手加減をしたとしても
当たり所が悪ければ死んじゃうだろうし。
でもこの場にいる人たちに
インパクトを与えるには
ソニアさんが戦った方がいいのは
確かなんだよね。
次回へ続く!