僕たちは約束通り、
真夜中に町外れの墓地へとやってきた。
するといつの間にか
あのニセベガーが近寄ってきていて、
その神出鬼没振りに驚愕してしまう。
僕たちは約束通り、
真夜中に町外れの墓地へとやってきた。
するといつの間にか
あのニセベガーが近寄ってきていて、
その神出鬼没振りに驚愕してしまう。
約束通り、来ましたよ。
念のため、
もう一度ギルド証を
見せてもらいましょう。
ギルド証?
カリブさんからもらった
木の板のことよ、きっと。
えぇ、そうです。
分かった。
僕は懐から木の板を取り出し、
それをニセベガーへ渡そうとした。
でもそれをルシードがすかさず止める。
俺が持ったまま提示する。
渡した瞬間、こいつが
ドロンするとも限らん。
確かに。
その用心は必要ね。
ご自由に。
ニセベガーはルシードが提示した
木の板に顔を近付け、
じっくりと舐めるように眺めた。
本物と偽物を区別する何かがあるのか、
それとも筆跡や文字を確認しているのか。
僕たちはカリブさんから
渡されただけだから、
その辺の詳細は知らないけれど。
やがてニセベガーは顔を上げて
こちらへ視線を向ける。
確かに本物のようだ。
で、聞きたいことは何だ?
この世界で起きている
異変について
知っていることを
教えてください。
随分とザックリとした
話だな。
例えば、頻発している
地震についてとか。
地震なら確かに
増えてきているな。
激しさも頻度も
増している。
その裏に何者かが
関わっているとか
聞きませんか?
さぁな。
地震なんて珍しくないし
頻発って言ったって
長い歴史の中で見れば
そういう時もあるだろ。
手がかりなしか……。
そうだよね、
裏で誰かが関わっているなんて
そんな話の方がトンデモだもんね。
じゃ、ここから北の方に
何があるのか教えて。
世界の根幹に
関わるような重要な何かに
心当たりない?
地のエネルギーが
収束している地点とか
そういう感じのやつ。
ここの北というと
帝都ネクスだな。
そこには皇帝がいて
政治を行っている。
帝都はもともと
天然の大岩をくりぬいて
発展した古代都市を
そのまま利用している。
しかも嬢ちゃんが
言ったそのまま、
そこは地のエネルギーが
集まる場所でもある。
へぇ、興味深い話だな。
そこね、きっと。
グランの手下がいる場所。
行ってさっさと
潰しましょ。
おい、待て待て!
潰すって何だ?
そのままの意味だけど。
破壊。殲滅。抹殺。
そこが諸悪の根源だから。
世界の危機を救うために
そこを消すの。
…………。
絶句してしまうニセベガー。
ま、それが普通の反応だよね。
あまりにも現実離れした話だし。
僕だって
事情やソニアさんの実力を知らなければ
『何を言ってるんだ、この人は?』って
思っちゃうはずだもん。
でもその話を聞いたニセベガーは
神妙な面持ちになって
ソニアさんの様子を窺う。
本気なのか?
本気で帝都を
潰す気なのか?
出来るのか、お前たちに?
冗談だと思う?
なんなら今すぐにでも
あっちに見える山を
消して見せてあげても
いいけど?
ダメですよ、
ソニアさん!
無茶苦茶ね……。
もし本当にやったら
数千年にわたって悪名が
残りそうですよね。
…………。
……ついてきな。
ギルドマスターを
紹介する。
ニセベガーはそう言うと
どこかへ向かって歩き出した。
詳細について何も説明がないままに。
ギルドマスターっていうことは
やはりシーフギルドが
存在するということなのだろうか?
それとも別のギルドなのか?
そもそもギルドマスターって
どんな人なのだろうか?
次回へ続く!