僕たちはようやく
冒険者ギルドへ到着した。

建物は三階建てで
外見はお役所のようなお堅いデザインで、
細部までシンメトリーとなっている。
その建物一棟が冒険者ギルドだった。



出入口では戦士風の人や魔術師風の人、
種族も様々なたくさんの人が
ひっきりなしに行き来していて、
これなら僕たちも目立たなくて済む。

早速、僕たちは受付に行って
そこにいた職員さんに声をかける。
 
 

トーヤ

すみません。
お訊ねしたいことが
あるのですが?

係員さん

なんでしょう?

トーヤ

シーフギルドを
探しているのですが
ご存じないですか?

係員さん

えっ……!?

 
 
明らかに職員さんの表情が曇った。
困っているような戸惑っているような
何とも複雑な感じ。
その場の空気が重苦しくなる。

なんだか僕の方まで気まずい。
 
 

エルム

僕たちは田舎から
出稼ぎにきました。
それで村長様が昔、
そこにお世話になったので
訪ねろと言われまして。

トーヤ

ナイスフォロー!
さすがエルム!

係員さん

そうでしたか……。
それでは事情を
ご存じなくて当然ですね。

係員さん

シーフギルドは
1年ほど前に
皇帝陛下のご命令で
解散となりました。

カレン

解散!?

係員さん

詳細は知りませんが、
そういうわけなので
シーフギルドは
もはや存在しません。

カレン

そんな……。

係員さん

おカネを稼ぐなら
我が冒険者ギルドを通して
依頼を受けてみては
いかがですか?

トーヤ

考えさせてください。
教えてくださり、
ありがとうございます。

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
僕たちは受付の職員さんに頭を下げると、
冒険者ギルドの建物を出た。

そして隣の建物にある食堂に入り、
お茶を飲みながら
今後のことを話すことにする。
 
 

トーヤ

困ったね。
まさかシーフギルドが
なくなっていたなんて。

エルム

もしかしたら
ギルドがなくなったせいで
スリなどが見境なく
起きているのかも。

ルシード

まぁ、
管理する連中が
いないのは
確かなようだがな。

ティアナ

あの治安の悪さに
ギルドの有無は
関係ないような気も
するけどね。

カレン

で、これからどうする?

カレン

冒険者ギルドで
情報収集するのも
手だとは思うけど。

 
 
確かに冒険者ギルドなら
シーフギルドと同様に様々な情報が
集まってきているはずだ。

各地の異変とか噂とか、
何らかの手がかりは得られると思う。


シーフギルドが頼れないとなると、
冒険者ギルドで代替できないこともない。
 
 

トーヤ

エルムはどう思う?

エルム

もう少し裏取りを
してもいいと思います。
シーフギルド解散という
情報が本当なのかを。

エルム

解散は表向きで
本当は存続しているとか、
政府の目が
届かないところで
存続しているとか、
そういう可能性も
否定できませんから。

ルシード

そうなると、
次に聞き込みをするのは
ギルドメンバーっぽい
やつらかな。

ソニア

さっきのスリとか?

カレン

ほかには強請りや集り、
ゴロツキとかね。

ルシード

そういうことになるな。
ま、トーヤが歩いていれば
さっきみたいに
向こうから寄ってくるだろ。

トーヤ

……それって
どういう意味?

ルシード

っ!?

ルシード

ま、まぁ、それは
深く考えるな。

 
 
ルシードは笑って誤魔化した。

まったく、
言いたいことはなんとなく分かるけど
ちょっと気に障るなぁ。
 
 

カレン

じゃ、適当に町を
歩いてみましょう。
情報収集も兼ねてね。

トーヤ

うん。

 
 
僕たちは食堂を出ると、
ターゲットを絞って
情報収集をすることにした。

シールギルドのメンバーっぽい人と
そう簡単に出会えるのかなぁ?
 
 

 
 
 
次回へ続く!
 

第296幕 潰された盗賊ギルド

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