宿で一泊した僕たちは翌朝、
ハテノ村のカリブさんに言われた通り、
シーフギルドを探すことにした。
そこへ行けばこの世界に潜む
グラン一派について
何か手がかりが掴めるかもしれない。
宿で一泊した僕たちは翌朝、
ハテノ村のカリブさんに言われた通り、
シーフギルドを探すことにした。
そこへ行けばこの世界に潜む
グラン一派について
何か手がかりが掴めるかもしれない。
まずはどこで
聞き込みをしようか?
場所もですが、
そもそも無闇に
聞き込みをするのは
危険かもしれません。
どういうこと?
シーフギルドは
反社会的組織として
捉えられている町も
あるからです。
僕たちも
犯罪者一派として
疑われるかもしれません。
それは厄介だね……。
もちろん、シーフギルドを
好意的に見ている町も
あるけどな。
そうなんだ。
じゃ、どうすれば
いいのかな?
まずは冒険者ギルドや
商人ギルド、魔術師ギルド
そういったギルドから
辿るのが無難だろうな。
ギルド同士なら
協力関係を
結んでいることが多いので
トラブルになるリスクは
少ないでしょう。
ま、冒険者ギルドから
当たるのがいいだろうな。
大抵の町にある組織だし
俺たちみたいな余所者が
尋ねていったとしても
ほぼ怪しまれない。
分かった。
まずは
冒険者ギルドを探そう。
こうして僕たちは道ゆく人や
商店などで聞き込みをすることにして
程なく冒険者ギルドの場所を突き止めた。
さすが首都というだけあって
かなり規模が大きいみたい。
また、交通の便にも恵まれた立地で、
通用門とお城を結ぶ
大通りに面したところにあるらしい。
すぐに冒険者ギルドが
見つかって良かったね。
そうね。
わっ!?
おっと、ゴメンよ。
カレンと話をしながら道を歩いていたら
正面から歩いてきた人と
ぶつかってしまった。
人通りが多いから
気をつけて歩かないとダメだね。
失敗失敗。
その人はそのまま
僕たちの隙間を縫うようにして
すれ違おうとする。
……どこへ行く?
っ!?
その時、ルシードは
僕にぶつかってきた人の腕を掴んで
その足を力尽くで止めさせた。
その人は目を丸くしている。
大人しく財布を返すなら
見逃してやる。
それとも痛い目に
遭いたいか?
痛てててっ!
返す! 返すから
勘弁してくれ!
ルシードが力を入れた直後、
僕にぶつかってきた人は
苦痛に満ちた声を上げつつ
掴まれていない方の手をポケットに入れ
そこから何かを取り出して
ルシードに投げつけた。
それは地面に落ちてジャラッという
金属音を上げる。
えっ?
それは僕の布袋だった。
中には昨日、
宝石などを売って得たおカネが
入っている。
くそっ……。
僕にぶつかってきた人は舌打ちをして
その場から走って逃げていった。
もしかしてあの人はスリ?
トーヤ、不用心すぎるぞ。
ハテノ村のカリブさんから
言われていたことを
忘れたのか?
ゴメン。
油断していたわけじゃ
なかったんだけど。
でもこれで
さらに気を引き締める
きっかけにはなったわね。
あの、逃がしてしまって
良かったんですか?
構わんさ、
あんな小悪党。
いえ、
そういう意味では
なくてですね、
あの人なら
シーフギルドについて
何か知っていたのでは?
シーフギルドがある町なら
その縄張り内で勝手に
商売できないですよね?
命知らずのはぐれ者
じゃない限りはね。
あっ!
そうかもな……。
すでにスリの姿は
人混みの中に消えていて
どこに行ったか分からなくなっていた。
今から追いかけても見つからなそうだ。
悪い、そこまで頭が
回らなかった。
仕方ないよ。
当初の予定通り、
冒険者ギルドで
手がかりを探そう。
もしかしたら
シーフギルドの手がかりを得る
チャンスを失ってしまったかもだけど
過ぎてしまったことは仕方がない。
ただ、白昼堂々、
しかも人目につきやすい場所で
スリをするヤツがいるということは
この町はやっぱり油断できない
ということだけは間違いないと思う。
気をつけなきゃ……。
次回へ続く!