先を急ごうという意見に
ソニアさんは反対だということだった。
一応、エルムも中立ではあるけれど
反対寄りの中立のような感じだ。
ただ、その理由には頷ける点がある。
どうするべきか……。
先を急ごうという意見に
ソニアさんは反対だということだった。
一応、エルムも中立ではあるけれど
反対寄りの中立のような感じだ。
ただ、その理由には頷ける点がある。
どうするべきか……。
あ、勘違いしないでね?
急ぐこと自体には
反対じゃないから。
え?
おいおい、
どういうことだよ?
要するに歩くのには
反対だって言ってんの。
走れと言うことですか?
エルムは走りたいの?
持久力に自信があるんだ?
い、いえ……
そういう意味では……。
あっ、そういうことか!
突然、カレンはポンと手を打った。
ソニアさんの言葉の意味に
ピンときたのかな?
僕は依然としてさっぱりだけど……。
私も分かった!
そうよね、別に歩く必要は
ないんだもんね。
どういうことです?
もうっ、トーヤったら
鈍いわねぇ。
ま、トーヤに
天然な部分があるのは
否定しないけどな。
ルシードっ!
ルシードったらニタニタと笑ってる。
まったく、僕をからかってッ!
ルシードこそソニアさんの言葉の意味を
理解していないクセに。
つまり歩くのではなく
魔法で空を飛んで
移動するとか、
そういうことですよね?
私は野良ドラゴンでも
見つけて捕まえて、
背中に乗るのかと
思ったけど。
あ、なるほど……。
そういうことですか……。
おおっ!
お前ら、頭がいいな。
……ルシードって
意外に脳筋なのね。
なっ、なんだとッ!?
まぁまぁ……。
いずれにしても、
僕たち男性陣は一様に感心していた。
そっか、徒歩以外の移動手段も
ないワケじゃなかったんだね。
すっかり選択肢から外れてた。
でもティアナさんの言う
『野良ドラゴン』って、
その発想は彼女だけだよね……。
なにもバカ正直に
歩く必要はないのよ。
楽できる時は楽しなきゃ。
では、今後はいつも
そうやって
移動しましょう。
それはダメ。
みんなの筋力が低下して
いざという時の戦いに
支障が出るから。
特にトーヤとエルムね。
歩くのも鍛練の
ひとつなんだから。
うぐ……。
そ、それは……。
図星で何も言えなくなってしまう
僕とエルム。
互いに顔を見合わせて苦笑する。
それに対してルシードだけは心なしか
得意気な顔をしているような
気がするのは思い過ごしだろうか……。
で、どうすんです?
ソニアさんが浮遊魔法で
運んでくれるんですか?
それとも私の力で
野良ドラゴンを操って
運んでもらう?
野良ドラゴンには
乗ってみたいけど、
それで町に近付くのは
問題ありそうよね。
町を襲撃すると誤解されて
衛兵さんに攻撃されたり
出入り禁止になったり
しそうですもんね。
んー、そっか。残念。
すごく落胆しているティアナさん。
いやいや、
ドラゴンに乗って町へ近付いて
問題ないと思っている方が
マズイでしょう!
ドラゴンの大きさや
種類にもよるだろうけど。
乗るのには違いないけど
それを使うのよ。
ソニアさんは
ルシードの方を指差していた。
まさかルシードに担いでもらおうって、
さすがにそれはないよね……。
俺かっ!?
いくらなんでも
全員を担ぐのは
無理だぞっ!?
……やっぱり脳筋ね。
なんだとぉっ!
ルシードが背負ってる
それを使うの。
ソニアさんは呆れながら
ルシードの背負っている荷物を指差した。
そこにあるのは、なんと……。
次回へ続く!