ハテノ村を出発した僕たちは
首都のブロッコへ向かって
メイジ街道を歩いていた。


ちなみにあのあとカリブさんたちから
さらに詳しく聞いた話によると、
首都は僕たちの魔界における
副都みたいな位置付けで、
それとは別に皇帝が治めている
帝都ヨスというものがあるらしい。

首都ブロッコは経済の中心地、
帝都ヨスは政治の中心地だとか。



ただ、帝都は皇帝の直轄地の中心にあり、
その地に足を踏み入れることが
出来る人は
限られているんだって。

だから町の詳細については
ほとんど知られていなくて、
分かっているのは
難攻不落の要塞ってことだけ。

もちろん、それすらもただの噂であって
真意のほどは定かじゃない。
 
 

カレン

どうしたの、トーヤ?
深刻そうな顔しちゃって?

トーヤ

あ……うん……。
難題が山積してるなって
思ってさ。

ティアナ

考えたって
しょうがないじゃない。
一つひとつ片付けていけば
いつか目的の場所へ
辿り着くわよ。

ティアナ

この場合の
目的の場所っていうのは
問題の解決って意味も
含まれてるからね。

トーヤ

ティアナさん、
ポジティブですね。

ティアナ

そう? 普通よ。
やれることからやる。
前を向いて。
まずは一歩、
踏み出すことよ。

 
 
ティアナさんは
『なーに、
当たり前のことを言ってんの?』
とでも顔に書いてあるかのような表情。


でも確かに彼女の言う通りかもしれない。

不安がって尻込みしているよりも
解決に向かって行動した方が
確実にゴールへ近付ける。
 
 

トーヤ

ですね。
おっしゃる通りです。

ティアナ

もし今日がダメでも
きっと明日は
いいことあるわよ。

ルシード

明日がダメだったら
どうするんだ?

ティアナ

明後日にはきっと
いいことあるわよ。
その繰り返し。

ティアナ

未来を信じて、
いい日が来ると信じて、
今日をがんばる。
そうじゃなきゃ
やってらんないわよ。

カレン

そうですね。
悲観するより、
自己満足でも精一杯
今日をがんばりたい
ものですよね。

ティアナ

そうそう。
命尽きるその時まで、ね。

 
 
生きとし生けるものには寿命がある。
そして病気や事故などでその天命を
全うできない人もいる。

限られた時間だからこそ、
後悔しないようにがんばらないと。



そう、例えばアレスくんたち人間は
僕たち魔族と違って寿命が圧倒的に短い。

だからこそ、強く光り輝いて強いんだ。




そして僕もカレンも
今では彼らと同じくらいの寿命の長さだ。

気持ちを切り替えてがんばらなきゃ。
  
 

トーヤ

エルム、ブロッコまでは
どれくらい距離があるか
分かる?

エルム

そうですね、
このペースで進めば
明日の昼頃には
着くと思います。

トーヤ

急げば今夜には
着けないかな?

 
 
するとエルムは少し俯いて考え込んだ。

色々な情報を加味して
分析しているんだと思う。



こういう時には彼の力を借りるのが
一番だと思うし、
僕は実際に頼りにしている。

人にはそれぞれ得意な分野と
不得意な分野があるから
パーティが一緒なら役割分担をするのが
ベストだと思う。



――それからわずかに間が空いたあと
彼は静かに口を開く。
 
 

エルム

不可能ではないと
思いますが
少しキツイですよ?

エルム

休憩時間をなくして
その分を進んでも
到着するのは夜遅くに
なるのではないかと。

トーヤ

歩くスピードを上げれば
黄昏時には着けない?

エルム

まぁ……
それならなんとか……。

ルシード

決まりだな。
リーダーが言うんだから
俺たちはその決定に
従うだけさ。

 
 
ルシードは僕の背中をポンと叩いて
僕の意見の後押しをしてくれた。

嬉しいなぁ♪
 
 

ティアナ

それは最終的にって
ことでしょ。
まずは意見くらいは
聞いてくれても
いいんじゃない?

ティアナ

私は賛成だけど。

ルシード

賛成なら別に
いいじゃねーか……。

トーヤ

カレンは?

カレン

どちらかというと
賛成かな。

カレン

町に着ければ
ベッドで休めるし、
ハテノ村で想定外に時間を
費やしちゃったから。

トーヤ

エルムは?
忌憚なく言って。

エルム

どちらでも構いません。
ただ、急ぐ場合は体力の消費、
そして注意力低下による
モンスターとの遭遇確率が
上がるなどのリスクも
考えねばなりません。

トーヤ

そうだね。確かにそうだ。

トーヤ

ソニアさんは?

ソニア

……反対。
トーヤの意見を
そのまま受け入れることは
出来ないわ。

トーヤ

うぐ……。

 
 
相変わらず、こういう時のソニアさんは
ストレートに意見を言ってくるなぁ。
もちろん、それは必要なことだけど。

流されて悪い事態に陥るよりは
きちんと言ってくれる方がありがたい。



賛成派は僕を含めて4人。
反対派は1人、中立が1人か……。

どうするのがいいかなぁ?
 
 

 
 
 
次回へ続く!
 

第287幕 急ぐ派? ゆっくり派?

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