ソニアさんが使ったのは
僕たち魔族にとって最大と脅威となる
神聖魔法らしき魔法だった。
それをまともに食らった
ルシードとティアナさん!
あぁ、もはやふたりは……。
ソニアさんが使ったのは
僕たち魔族にとって最大と脅威となる
神聖魔法らしき魔法だった。
それをまともに食らった
ルシードとティアナさん!
あぁ、もはやふたりは……。
うぁあああぁっ!
気が狂うっ! 狂うっ!
あああああああぁーッ!
絶望だっ! 絶望!
僕のせいでふたりはっ!
ふたりはぁあああああああぁっ!!!!
ああああああああ……。
きっと欠片も残さず、
完全に消滅しちゃったに違いない!
ソニアさん、
あなたはなんて恐ろしいことを!
僕はあなたを許さ――
落ち着いて、トーヤ。
大丈夫だって
言ったでしょ。
よく見てみなさい。
へっ?
光が収まり、
大きく息をついたソニアさんは
小さく言い放った。
見てみると、
魔方陣のあったその場には
ふたりの姿がある。
体から湯気のようなものは
立ち上っているみたいだけど、
あれはきっと魔法力の残り香だ。
か……は……。
く……。
ルシード!
ティアナさん!
僕は慌てて駆け寄り、
倒れ込みそうになるふたりの体を支えた。
伝わってくる体温と呼吸。
良かった、ちゃんと生きてる!
気を失っているみたいではあるけど!
生きてるっ!
生きてるよぉ!
当ったり前でしょ。
そういう風に
やったんだから。
トーヤ、あなたには
弱点があるみたいね。
えっ?
度を超えた事態に
直面すると
冷静さを失うばかりか
憎悪が吹き出してくる。
手が付けられない。
普段は冷静で
抑圧されている分、
その反動かしらね。
な……。
僕は心臓を槍で貫かれたような気がして
呆然となった。
確かにソニアさんの
言う通りだったかもしれない。
僕自身が気付いていなかったことを
的確に指摘されたような。
言われてみて初めて自覚した。
反省しなきゃ……。
ま、完璧な人は
そうそういないけど。
だからこそお互いに
補完し合うのが
大切なんだけどね。
それが仲間ってやつよ。
ソニアさん……。
…………。
自分の未熟さを痛感する。
何がリーダーだ。
僕はきっと天狗になっていた。
このままじゃダメだ。
みんなのためにも僕自身のためにも
今回の経験を決して無駄にしないぞ。
すごいですね。
神聖魔法ですよね?
なぜルシードさんたちは
無事だったんです?
任意の対象のみに
影響を与えるように
調整したからよ。
それくらいの芸当、
簡単なもんよ。
いやいや、
簡単じゃないと思うけど。
そう?
それにそもそも今のは
神聖魔法ってやつじゃ
ないしね。
似て非なるもの。
私だって
キミたちの世界とは
別の世界の存在なんだよ?
それを忘れてもらっちゃ
困るなぁ。
そっか、そうだよね。
今回のことでは
色々と再認識させられるし、
考えさせられる。
あらためて気を引き締めないとな……。
次回へ続く!