情報収集から戻ってきた
ルシードとティアナさんは、
黒い霧のようなモンスター
シャドウに取り憑かれ、
操られているようだった。
それを見たソニアさんは前に出て
ふたりと対峙する。
情報収集から戻ってきた
ルシードとティアナさんは、
黒い霧のようなモンスター
シャドウに取り憑かれ、
操られているようだった。
それを見たソニアさんは前に出て
ふたりと対峙する。
ソニアさん!
なるべく肉体は
傷付けないように
してくださいね!
精神を操られている
だけなんですから!
善処する。
でも万が一の覚悟は
しておいてね。
…………。
低音で胸を射貫くような鋭い言葉。
僕はゾクッとして背筋が寒くなった。
そうだ、ここでは僕たちの世界の常識が
通じるとは限らない。
くそ、こんなことになるなんて
僕の判断ミスだ。
全員で探索をするべきだった。
大丈夫だよ、トーヤ。
万が一なんて言ったけど
なんとかしてみせるから。
ソニアさん……。
僕の心情を察したのか、
ソニアさんは一瞬だけ天使のような
表情を見せて温かな声を出した。
なんて不思議な感覚だろう。
不安と後悔の念でいっぱいだったのに
それが瞬時に和らいで消え失せる。
はぁあああぁ……。
ソニアさんはすぐに凜とした顔に戻ると
右手を前に突き出して
そこへ魔法力を集中させていった。
風もないのに彼女の髪は大きく揺らめき、
全身は徐々に黄金色の淡い光で包まれる。
邪なる者よ、去れ!
浄化の光!
っ!?
っ!?
ソニアさんの掛け声とともに
ルシードとティアナさんの足下には
魔方陣が浮かび上がった。
そしてふたりはその魔方陣から天へと
立ち上る黄金色の光に覆われる。
ぎゃあああぁ……。
どこからか響いてくる断末魔の叫び。
聞いている僕たちまでも痛々しくて
気分が悪くなるようなものだ。
思わず吐き気がしてくる。
ただ、それは次第に儚く消えていき、
同時に灰が風の中で散らされるように
黒い影がふたりの光の中で
昇天するように消滅していく。
これ……神聖魔法……?
ですね、きっと。
以前、アポロさんが使った
断罪の光と似ています。
っ!?
で、でもっ、それなら
魔族であるルシードは
どうなるのっ?
ドラゴンマスターだって
亜魔族だよっ?
ティアナさんも無事では
済まないよっ!
神聖魔法なんか食らったら
並の魔族はただじゃ済まない。
全ての細胞が欠片までも残さず
消滅してしまうことだってありうる。
ソニアさん、なんということをっ!!
次回へ続く!