僕たちは無事に地属性の世界に到着した。
どうやらここは
僕たちの住んでいる世界に近しいらしい。

ただ、得られている情報は少ないし、
世界の状況も分からない。
 
 

トーヤ

ソニアさん、
何か敵の手がかりは
ありませんか?

ソニア

あるよぉ。
世界の歪みが
一番大きい地点へ
向かいましょう。
それは感覚で分かる。

ソニア

世界のバランスに
影響を与えているところに
敵がいるはずだから。

カレン

でもいきなりそこへ
向かうのは危険じゃない?
世界の状況が
何も分からないんだし。

エルム

僕もカレンさんの意見に
賛成です。
まずは情報収集を
した方が良いかと。

ルシード

近くに町や村があれば
そこへ行って
今後のことを考えたいが。

ソニア

みんな慎重ね。
さっさと敵の本拠を
攻めて潰しちゃえば
早いのに。

 
 
それを聞いて絶句する僕たち。
確かにソニアさんが強いのは分かるけど、
無茶苦茶な気が……。

そもそも旅立ちの前に
油断大敵だって言ったのは
ソニアさんだし、
僕たちの世界に召喚された時も
確かグランに
凍結封印されられちゃったんだよね?
 
 

ティアナ

ねぇ、トーヤ。
この人、大丈夫?
ヤバくない?

ソニア

…………。

トーヤ

てはは……。

 
 
訝しげな顔で
ソニアさんを指差すティアナさん。

でもティアナさんも
グランとの戦いの時には
副都を破壊し尽くそうとしていたような。
どっちもどっちだよね……。
 
 

ルシード

勇敢と無謀は全く別だ。
はき違えるな。

ソニア

はーい。

ルシード

トーヤ、まずは俺が
周囲の状況を探ってくる。
レンジャー職の俺なら
森の探索は
お手のものだ。

トーヤ

待って。
ひとりでは危険だよ。
僕たちのいた世界とは
違うんだし。

トーヤ

単独行動は
なるべく避けるべきだ!

ルシード

あ……うん……。

 
 
少し目を丸くしながら頷くルシード。

ちょっとキツい言い方に
なっちゃったかもだけど、
慣れている状況だからこそ
気を引き締めないと。

それにルシードに何かあったら
僕は悔やんでも悔やみきれない。
だって大事な親友なんだから。



そんな僕の心情を察してか、
ルシードは優しい笑みを浮かべ
僕に歩み寄って
ポンと肩を叩いてくる。
 
 

ルシード

トーヤの言う通りだ。
慢心がなかったといえば
嘘になる。
サンキュな。

トーヤ

僕もつい強く
言っちゃってゴメンね。

ソニア

さすがリーダー。
冷静ね。

トーヤ

え?
僕がリーダーなの?

ソニア

違うの?

トーヤ

明確に決めては
いないですよ。

カレン

でも私もリーダーは
トーヤがいいと思う。

エルム

僕も賛成です。

ルシード

多数決でリーダーは
トーヤに決定だな。

ティアナ

多数決じゃないわよ。
私も賛成だから
これはパーティの総意よ。

トーヤ

じゃ、僕が
リーダーということで。

 
 
するとみんなは笑顔で拍手して
僕のリーダー就任を認め、祝ってくれた。

ちょっと照れくさい。
 
 

トーヤ

じゃ、早速ですが
リーダーとして
ティアナさんに
お願いします。

トーヤ

ルシードと一緒に調査へ
行ってくれますか?

ティアナ

分かったわ。

トーヤ

ただし、戦闘は
なるべく避けてください。
やむを得ない状況なら
別ですが。

 
 
ティアナさんならタフだし、
不測の事態にも対応できるはず。

回復薬も自在に扱えるしね。


相性や森に慣れているということを
考えると
僕が行ってもいいんだけど
もし戦闘になったら僕はルシードの
足手まといになりかねない。



それに気が合いすぎると探索の際には
周りへの警戒心がつい緩んで
良くないかもしれないしね。
 
 

トーヤ

調査チームのリーダーは
ルシードにお願いするよ。

ルシード

任せてくれ。

トーヤ

最優先はふたりの安全。
絶対に無理はしないでね。

ルシード

分かっている。
行こう、ティアナ。

ティアナ

はいはい。

 
 
こうしてルシードとティアナさんは
情報収集へ向かった。

ふたりとも、無事に戻ってきてね。
 
 

 
 
 
次回へ続く!
 

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