ソニアさんのチェックで
問題がないことが分かり、
キングスキャンターは完成となった。

とりあえず先行して完成したものを使い、
クレアさんが僕たちに関連する
各地を巡って
色々な人をチェックしているとのこと。


一方、僕とカレン、ソニアさんは
いつ旅立ちになってもいいように、
準備を終えて王城の一室で
待機となっている。

もっとも、旅の装備を身につけて
即座に出発可能という状態で
待っているわけではないけどね。



ただ、いつ旅立ちになるのか
分からないから
結果的には何もできずにソワソワしつつ
待たなければならない。

それはそれで落ち着かない。
 
 

トーヤ

最初に旅立つのは
どんな属性の世界で
どんな感じなのかなぁ。

カレン

そんなに心配しなくても
大丈夫よ、きっと。

ソニア

ただ、この世界の常識や
摂理とは全く違う場合も
あるからねぇ。

ソニア

過度に不安になる必要は
ないと思うけど、
油断はしない方が
いいわよ。

カレン

えぇ。

 
 
するとその返事を訊いたソニアさんは
目を丸くしながら
『へぇ』と小さく呟く。
 
 

ソニア

意外ね。カレンが
そんなに素直なんて?

カレン

どういう意味ですか?

カレン

私だって無闇に
突っかかりはしませんよ。

カレン

それにこれから
一緒に旅をするのに
最初からトラブっても
百害あって一利なしです。

ソニア

カレン、
ちょっと見直した。
そういう現実的なとこ、
好きよ。

カレン

う、うるさいですよ。

 
 
やっぱりなんだかんだで
属性が同じだとやっぱり心の底では
気が合うのかもなぁ。


これなら楽しい旅になりそうな気がする。

世界の危機を救うための旅だから
楽しいだなんて
ちょっと不謹慎かもだけど。
 
 

デリン

トーヤ、いるか?

トーヤ

デリンさん!

 
 
部屋で待っていると
デリンさんがやってきた。

走ってやってきたみたいだけど
どうしたのかな?
 
 

デリン

女王様がお呼びだ。
三人とも
旅立ちの装備をして
一緒に来てくれ。

ソニア

つまり出発ってことね?

デリン

そういうことだ。

カレン

いよいよね。

 
 
僕は顔を手で叩いて気合いを入れ直すと、
急いで旅の装備を身につけ、
道具などの入った袋も持った。

そして最後に背負ったのはフォーチュン。
今回も活躍してもらうと思う。

よろしく、フォーチュン。
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
王室へ入ると、そこには女王様のほかに
クレアさんの姿もあった。

さらにその横にはティアナさんとエルム。
ふたりとも旅の準備が完了している。
ということは、
最初に向かうのは地属性の世界かな?
 
 

ミューリエ

待っていたぞ。
これで全員が揃ったな。

トーヤ

女王様、
旅立ちということですね?

ミューリエ

そうだ。まずは
地属性の世界から
向かってもらいたい。

ソニア

たまたま頭数が揃ってる
地属性の世界へ行って、
私たちがそこを
攻略している間に
眼鏡の量産化と調査を
進めようというワケね。

ソニア

一度に隔世の門を
通れる人数には
限りがあるからね。

トーヤ

人数に制限が
あるんですか?

ソニア

言ってなかったっけ?

トーヤ

聞いてませんよ……。

カレン

…………。

ソニア

ミューリエには
伝えてあったんだけど
トーヤたちには
まだだったかぁ。

カレン

しっかりしてよね、
まったく……。

ソニア

ゴメンゴメン。

 
 
ソニアさん、笑って誤魔化していて
反省しているようには
見えないんだけどなぁ。

まー、いつものことだから
もう半分くらいは諦めてるけど。
 
 

 
 
 
次回へ続く!
 

第273幕 最初に向かう世界

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