自動人形に属性はあるのか?
作られた生命である僕は
無属性らしいけど、
そういうことなのだろうか?
すると問いかけられたソニアさんは
キョトンとしながら口を開く。
自動人形に属性はあるのか?
作られた生命である僕は
無属性らしいけど、
そういうことなのだろうか?
すると問いかけられたソニアさんは
キョトンとしながら口を開く。
アーシャ、
あなたは自分の意思が
あるでしょう?
はい。
属性は心に宿る。
心のあるあなたには
属性があるわよ。
っ!?
そうですか。
皆様のお力になれず
申し訳ないのに
なぜか嬉しい気持ちが
あります。
うふふ♪
アーシャさんには
自然な笑みが浮かんでいた。
周りにいるみんなも
穏やかな気持ちに満ちている。
そうだよね、
アーシャは心のあるひとつの生命体だ。
機械や道具なんかじゃない。
では、セーラが
属性を判別する道具を
作り次第、
行動へ移そう。
クレアとデリンは
その道具を使い、
転移魔法を駆使して
トーヤたちの関係者を
当たってみてくれ。
分かったわ。
承知。
ノーサス、
隔世の門の警備を
今以上に厳重に頼む。
御意。
ほかの者はいつ異世界へ
旅立ってもいいように
準備を済ませて
おいてくれ。
おーっ!
こうして僕たちは異世界へ旅立つまで
それぞれに過ごすことになった。
世界の危機が迫っていると思うと
なんだか焦ってしまうけど
セーラさんが属性を判別する道具を
完成させるまでは何もできないもんね。
会議が終わってから数日が過ぎた。
アレスくんやタックさんなどは
鍛練をしているみたい。
一方、僕はカレンやライカさんたちと
旅に役立ちそうな薬を調薬している。
主に体力や魔法力、
状態異常の回復薬などだ。
別に僕たちだけが使うわけではなくて、
こちらの世界に残る人たちの
役にも立つから
薬は多いに越したことはない。
トーヤ、
少し休憩しましょうか。
そうだね。
では、お茶を淹れますね。
僕も手伝います。
ライカさんとエルムはお茶を淹れるため
隣の部屋にある給湯室へ入っていった。
それ以外の僕たちは
その奥にある休憩室で息をつく。
調薬途中の調薬室でお茶を飲むわけには
いかないからね。
それにしてもトーヤ、
相変わらずの
見事な調薬技術ね。
それほどでも。
ティアナさんの技術や
知識量には
まだまだ適いませんよ。
ね、せっかくだから
お茶を飲んだあとで
セーラの様子を
見に行ってみない?
邪魔をしたら悪いですよ。
何を言ってるの?
回復薬を差し入れすんの。
それを使って限界まで
働いてねってことで。
――という建前で
行ってみましょう。
その建前も
ひどいような気が……。
ただ、すでに乗り気のティアナさんを
止めるわけにもいかない。
だから僕たちはお茶を飲んで
休憩をしてから
セーラさんのいる作業室へ
行ってみることにした。
作業室ではたくさんの職人さんたちが
様々な作業をしていた。
そっか、別にセーラさんだけが
作業室で仕事をしているわけじゃ
ないもんね。
もちろん、セーラさんには
作業室の奥にある専用の研究室が
割り当てられているから
そこで仕事をしているんだろうけど。
こんにちは。
あっ、トーヤくん!
ちょうどいいところに!
研究室に行くと少し疲れ気味ながらも
テンション高めなセーラさんが
興奮しながらこちらに駆け寄ってきた。
目の下にクマ、ややぼさぼさの髪、
お肌も少しカサカサしている。
その症状に効く薬を
あとで調薬してあげないとな。
どうしたんですか?
そんなに興奮して?
完成したんですよぉ!
属性を判定する道具が!
そうなんですかっ!?
はいぃ、コレですぅ!
その手には一見すると単なる眼鏡が
握られていた。
これが例の道具なのかな?
名付けて
『キングスキャンター』ですぅ。
キングスキャンター?
これを掛けると
レンズ風のディスプレイに
属性が表示される仕組み
なのですぅ。
試してみてください。
は、はい……。
僕はキングスキャンターを受け取ると
それを掛けてみた。
ちょっと慣れない感じ。
視力は悪くないから普段は眼鏡を
使ってないんだよね。
次回へ続く!