危機感がないソニアさんに、
僕たちの不安は
どんどん強くなっていった。
このままじゃ、この世界は滅んじゃう。
居ても立ってもいられなくなった僕は
ソニアさんに向かって夢中で叫ぶ。
危機感がないソニアさんに、
僕たちの不安は
どんどん強くなっていった。
このままじゃ、この世界は滅んじゃう。
居ても立ってもいられなくなった僕は
ソニアさんに向かって夢中で叫ぶ。
ソニアさん、お願いです!
僕たちに
協力してください!
いいよっ♪
トーヤの頼みなら。
っっっっっ!
馴れ馴れしい……。
そもそも協力するって
出会った時に
約束してるしね。
僕が頼んだらやけにあっさりと
承諾してくれた。
ちょっと拍子抜けしてしまったけど、
僕たちの願いを聞き届けてくれて
ひとまずはホッとした。
周りにいるみんなも安堵の表情を
浮かべている。
簡単に話すと、
各世界で世界のバランスを
崩している元凶を
破壊して、
隔世の門との繋がりを
断てばいいの。
ただし、
世界間を移動するには
条件があるんだけどね。
条件?
さっきも話に出たけど
各世界には属性がある。
それが一致した存在しか
行き来が出来ないのよ。
じゃ、その世界で
暮らしている人たちも
みんな同じ属性
なんですか?
それは別。
各世界で色々な属性の人が
暮らしてる。
属性は自分が生まれた時に
神様からひとつだけ
与えられるの。
特定の属性の魔法が
得意だったり
不得意だったりするのは
そういうことなんですね。
そういうこと。
そして属性が関係するのは
世界と世界の間を
移動する時なんだ。
つまり自分の
生まれ育った世界と
属性の一致する世界だけ
行き来が出来るんですね?
基本的にはね。
もちろん例外はあるけど。
例外とは?
無属性。
全ての世界の行き来が
可能な属性。
それを持っている人は
超レアだけど。
――無属性かぁ。
もしかしたら、
神様が僕たちをお作りになる時、
元々は全員が無属性で、
あとから属性が
振り分けられているのかも。
それでたまたま忘れちゃったみたいな。
だとしたら面白いよね。
ちなみに私は
その超レアな無属性。
全ての世界に
行き来できるのよねー。
超レアって
どれくらいレアなんだ?
各世界の
ヒューマノイドのうち、
0.0000000001%くらい。
ま、イメージとしては
各世界に1人いるか
いないかってくらい。
なのに驚くべきことに
この世界にはすでに
その無属性の存在が
2人もいるのを確認
しちゃってるのよね。
つまりソニアさんを
含めると
3人ということですか?
そういうこと。
誰なんです?
するとソニアさんは僕を指差して、
さらにそのあとカレンを指差した。
えっ? えぇっ!? どういうこと?
トーヤとカレン。
ちなみに同属性だと
本能的に
気が合うらしいわよ?
私とソニアの関係みたいに
合わない場合も
あるんじゃないの?
ま、どんな事象にだって
例外はあるわよ。
ニッコリと微笑むソニアさん。
でもそれが
どういう意図を持っての笑顔なのか
僕には計りかねる。
カレンを挑発しているのか、
それともカレンに嫌われちゃっての
自嘲なのか……。
つまり私たち3人を軸に
各世界の担当を
割り振っていくのが
いいでしょうね。
それと異世界で起きうる
不測の事態を考えると
私たちと縁の深い
人物の方が安心かも。
まぁ、そうなるだろうな。
でもさ、
どうやって
属性が分かるの?
ですよねぇ。
私たち、
自分の属性なんて
知りませんよぉ。
私、属性を判別する装置を
持っているから、
あとで技術者なり
発明家なり魔術師なり
分析させて量産化すれば
いいんじゃない?
セーラだな。
ですね。
ほかにいませんね。
その場にいた全員が
セーラさんのことを思い浮かべていたに
違いない。
だってみんなセーラさんの名前を聞いて、
息がピッタリで大きく頷いていたもん。
セーラさんに
過度な期待を向けてしまうと
彼女にとっては
プレッシャーになってしまうけど、
大して時間をかけずに
『できましたぁ』って言って
作り上げてしまいそうな気もする。
みんなのその反応、
心当たりがあるんだ?
うん、その人に
装置を貸してあげる。
では、このあとは
詳細について
この世界の統治者や
責任ある立場の人たちに
話すことにしましょう。
こうして僕たちはソニアさんとともに
王都へ戻ることにした。
それにしてもこの世界、
思いがけず複雑でややこしい状況に
なっているみたいだ。
しかも僕はまたしても
特異な存在らしいし。
でも世界の危機を救うためだもん、
がんばらなくっちゃ。
次回へ続く!