デリンやロンメル、カレンの活躍により
広い部屋の中にいたモンスターたちは
あっという間に殲滅された。
彼らの前に立って無事だった者は皆無。
待っているのは死のみ。
仲間にいると心強いけど、
もし敵に回っていたらと思うと
恐ろしいなぁ。
……あ、でもロンメルとは戦ったことが
あったんだっけ。
確かにあの時は僕も死を覚悟したもんな。
デリンやロンメル、カレンの活躍により
広い部屋の中にいたモンスターたちは
あっという間に殲滅された。
彼らの前に立って無事だった者は皆無。
待っているのは死のみ。
仲間にいると心強いけど、
もし敵に回っていたらと思うと
恐ろしいなぁ。
……あ、でもロンメルとは戦ったことが
あったんだっけ。
確かにあの時は僕も死を覚悟したもんな。
ふむ、トーヤの
予想通りだったな。
何か見つけたんですか?
あぁ。地図を見てみろ。
デリンさんに言われた通り、
僕は地図へと視線を向けた。
するとさっきまで
モンスターの集団がいた地点に
さらなる地下へと続く
隠し階段が表示されている。
そっか、この階段、
無数のモンスターの表示が
邪魔していたせいで
今まで
見えなかったんですね。
そういうことだ。
侵入者が地図魔法を
使うことも想定して
いたのであろうな。
実際の隠し階段も
モンスターの存在によって
確認しづらくなっていた
わけだしな。
では、この隠し階段を
下りてみるか。
ロンメルは探知魔法を使って隠し階段の
正確な位置を割り出すと、
その位置を調べた。
すると床の石が
鈍い音を立ててスライドし、
地下へと続く階段が現れる。
そこへゆっくりと進むと、
中の空気は今までのフロアと比べて
淀んでいてカビ臭さが強かった。
踏んだ場所も
軽く砂埃が舞うところから察するに
結構長い時間
誰も立ち入っていないんだろうな。
はてさてこの先、
鬼が出るか仏が出るか。
いずれにしても
何かがあるのは
間違いないだろうな。
カレン、
手を繋ごっか?
えぇっ!?
……うん。
僕は右手でカレンの左手を握った。
柔らかくて温かくて心地良い感触。
カレンの顔を見ると、
頬を赤くしながら嬉しそうにしている。
やっぱりカレンは可愛いな。
あの、兄ちゃん。
僕も手を繋いで
いいですか?
いいよ。
じゃ、空いている左手ね。
はいっ!
僕はエルムの右手を左手で握った。
小さくて温かくて、
強く握ると壊れてしまいそうな儚さ。
守ってあげたくなるような愛しさが
こみ上げてくるなぁ。
みんなずるいですよぉ。
それなら私は
ご主人様と。
断る。
もし不意に敵が
襲ってきたら
対処が遅れるだろうが。
はうぅ……。
じゃ、仕方ないので
トーヤくんの
服の背中の部分を
掴むことにします。
サララは僕の背中側に回り、
服を掴んでくる。
これで正面以外は
囲まれてしまう形に
なったわけだけど……。
その様子をチラリと見たデリンさんは
思わずニヤッと口元を緩める。
大人気だな、トーヤ。
吟遊詩人か役者にでも
転職したらどうだ?
そういう人気とは
違うような気が
するんですけど……。
そもそも僕は
薬草師以外の職に就く
つもりはありませんよ。
ま、そうだな。
吟遊詩人も役者も
似合わんもんな。
そう言うとデリンさんはお腹を抱え、
必死に笑いを噛み殺していた。
ひどいなぁ、デリンさん。
自分で言っておいて……。
デリンさんに
からかわれたって
アレスくんに
泣きつこうかな。
アレスくん、
デリンさんのことを
どう思うかな?
落胆するかもな。
ちょ、ちょっと待て!
トーヤ、ずるいぞ!
アレスのことを
引き合いに出すなんて!
デリンさん、焦ってる。
アレスくんのこととなると
さすがのデリンさんも弱いんだよね。
ま、僕もひとのことは言えないけどさ。
冗談ですよ。
単に僕をからかった
仕返しです。
僕の大好きな
デリンさんが
困るようなこと、
本当にするわけないじゃ
ないですか。
……っ!?
そ、そうか……。
お前たち全員、
揃って仲がいいな。
魔族らしくないぞ?
うるさい!
ヴァンパイアのクセに
生意気だぞ!
それもこれも全て
勇者の影響か。
アレス、ますます
興味深い男よ。
色々な意味でな……。
…………。
つい最近もロンメルはアレスくんのこと、
言及していたよね。
危険だとか暴走したら世界が滅ぶとか。
そういえばロンメルは
数百年生きているから
歴代の勇者様たちを知っているのかもね。
いつも世界の危機に
直面していたわけじゃないから、
その中で目立った活躍をした勇者様は
限られているだろうけど。
それをふまえた上で
アレスくんから特別な何かを
感じ取っているのかもなぁ……。
次回へ続く!