トラップを破壊した僕たちは、
風景画が飾られていた壁をあらためて
観察した。
するとそこにはあったのは――
トラップを破壊した僕たちは、
風景画が飾られていた壁をあらためて
観察した。
するとそこにはあったのは――
何かのボタン……かな?
壁には小さなボタンが設置されていた。
まん丸でお日様みたいなボタンだ。
右側に2個、左側に2個、
計4個のボタンがそこにある。
押す順番とか重要そうだなぁ。
どういう『こうぞう』に
なってるんだろ?
植物観察用の虫眼鏡を持ってるから、
それでじっくりと見てみようかな?
押してみる……か……?
でも……。
またトラップが
ありそうだな。
どうする、トーヤ?
やっぱり
トラップに注意しつつ、
押すしかないよね。
どこを押しますかぁ?
えっ? そんなの
決まってるじゃない。
ここだよ、ここ!
僕は壁のボタンを指し示した。
するとサララは目を丸くしながら
首を大きく横に振る。
いえ、順番の話ですよぉ。
適当に押しちゃって
いいんですか?
あ、そういう意味か。
うん、僕も順番に
意味がありそうな気が
してたんだよね。
あっ!
その時、
カレンが不意に大きく声を上げた。
様子を見る限り、
何かを思い出したかのようだ。
もしかしてボタンについて
心当たりでもあるのかな?
どうしたの?
そういえば、
子どものころ乳母さんに
聴かされてた子守歌が
それっぽいのを
思い出したの。
まん丸ボタンは白色矮星。
ちっちゃいボタンで
未来が開く。
上上下下左右左右BA。
…………。
なんのこっちゃ
ですね……。
考えている時間が
勿体ない。
サララ、
適当に押してしまえ。
そんな無茶苦茶な……。
ではではっ、
ボタンを押しますっ!
ポチッとな!
僕が当惑している間にも
サララは行動に移ってしまった。
あ……。
サララが無造作にボタンを押すと、
少し離れた位置にある床が動いて
地下へ降りる階段が現れた。
今回は結果オーライ……かな……?
よし、中を探索しよう。
先頭は我が務めよう。
では、しんがりは俺だ。
うん、分かった。
じゃ、進もう。
ただし、みんな慎重にね。
また誰かが勝手なことをするのは
困るので、
釘を刺しておいた。
それで問題が排除できたかどうかは
分からないけど。
それにしてもこのパーティ、
意外に厄介なような気がしてきたよ……。
僕たちは
壁のボタンを押すことで出現した
隠し階段を下りていった。
カレンが照明(ライティング)の魔法を
使ってくれているから
比較的視界良好で
進んでいくことが出来る。
ただ、
そこは地下迷宮のようになっていて
地図なしで探索するのは
少し大変かもしれない。
そういえばロンメルと出会ったのは
こんな感じの場所だったなぁ。
帰らずの遺跡だっけ。
エルムとも出会ったばかりだった。
なんだか懐かしいな……。
さぁ、どう進む?
手がかりがないのなら
壁に手を当てながら
進むという手法が
ありますよね。
あるいはマッピングを
しながら進むとか。
フッ、どちらも不要だ。
この場は俺に任せておけ。
そういうとデリンさんは前へ出て、
何かのスペルを唱え始めた。
これは何かの魔法?
我が前に
全ての道を示せ!
道案内(ナビゲート)!
デリンさんが魔法を唱えると、
空中に魔法力の光で描かれた地図が
出現した。
そこには通路らしきものや宝箱の位置、
隠し部屋、階段、トラップなど
全ての位置が記されている。
しかも僕たちの位置も光の点で表わされ、
常に地図の中心に来るようになっている。
つまり僕たちが移動すると
その移動した分だけ
全体の位置も補正されるように動いて
表示されるということだ。
便利な魔法だなぁ。
これで怪しい場所を
しらみつぶしに探索すれば
いいだろう。
デリンさん、
地図上で動いている
赤い光の点はなんですか?
エネミーだな。
敵意を持ったモンスターや
獣の類だと思えばいい。
じゃ、これと
出会わないように
進めばいいのね。
戦闘を避けるならな。
そうは言っても
進行方向によっては
不可避の場合もある。
その時は我が不意打ちで
殲滅してくれる。
そうだな。
位置が分かる以上、
イニシアチブは常に
俺たちにあるからな。
先手必勝ですねぇ。
道に迷わず、
しかも闇雲に進まなくていいなんて
助かるなぁ。
デリンさんって戦闘に関しては
物理攻撃が主体で、
魔法攻撃はあまりメインじゃない。
その代わりアンデッドの召喚魔法や
転移魔法、探知魔法、
そして今回の地図魔法。
補助魔法をたくさん身につけてるんだね。
パーティ内にそういう人がいてくれると
未知の領域の探索がすごく楽になる。
次回へ続く!