僕たちはグランの屋敷を調査するため、
デリンさんの転移魔法で
副都にやってきていた。


町は復興の真っ最中で活気がある。

早くみんなが
安心して暮らせるような状態に
なってくれたらいいなぁ。
 
 

デリン

では、グランの屋敷へ
向かうか。

トーヤ

そうですね。
そういえば貴族院の調査は
始まって
いるんでしょうかね?

デリン

おそらくな。
さっきクレアが王城で
メンバーとともに
転移魔法で移動したのを
目撃したぞ。

サララ

じゃ、もしかしたら
勇者様たちと
会えるかもですね。

デリン

貴族院とグランの屋敷が
秘密の通路で
繋がっているという
可能性もあるからな。

カレン

どうかなぁ。
貴族院とうちって
距離があるのよね。

カレン

地形的にも
間に広い水路があって
繋がっているようには
思えないんだけど。

エルム

でもゲートのように
魔法技術を利用した
施設を使っていれば
ありえなくはないですよ。

ロンメル

そうしたことを
調べるために
我々はここに
来ているのではないか。

トーヤ

うん、今から考えても
仕方ないよね。

サララ

ではではっ、
行きましょう!

デリン

よし、サララ。
水路を移動するための
小舟を調達してこい。

サララ

はーいっ!

 
 
こうして僕たちは
サララがレンタルしてきた小舟に乗って
グランの屋敷へ向かった。

デリンさんが浮遊魔法を使ってくれて
移動することも出来たんだろうけど、
それをしなかったってことは
これから何が起きるか分からないから
魔法力をなるべく温存したいって
ことなんだろうね。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
しばらくして僕たちは
グランの屋敷の前へと辿り着いた。

ちょっと前に来ているはずなのに
すごく昔だったような気がする。
ここで僕たちは
激闘を繰り広げたんだなぁ。



なお、敷地の出入口には
王都軍の兵士さんたちがいて
関係者以外が
立ち入り出来ないようになっている。

彼らはデリンさんの顔を見ると
途端に大きく息を呑んで、
すばやく姿勢を整えてから最敬礼をした。


さすが王都軍の最高司令官だ。
顔が利くんだね。
 
 

兵士

これはこれはデリン様。
お疲れさまです。

デリン

ご苦労。
ノーサスから話は
聴いているな?

兵士

はい。伺っております。
どうぞお入りください。

デリン

よし、みんな。
行くぞ。

 
 
僕たちはデリンさんに続き、
敷地内に入った。


それにしてもデリンさん、
兵士さんたちの前ではいつにも増して
凛々しくなって格好いいな。

いつもは優しくて穏和だから
そのギャップにもドキッとしちゃう。
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
広大な屋敷の内部は静まり返っていた。

誰もいないんだから当然だけど、
広いからこそ空虚感を
強く感じるような気がする。

あちこちには
まだ戦いの爪痕が残っていて
修復はされていない。

こうした傷の中には僕が付けたものも
あるんだよね。
 
 

デリン

カレン、
先頭を歩いてみて
違和感があるところを
教えてほしい。

カレン

分かりました。

 
 
前に出たカレンは
ゆっくりと屋敷の内部を歩き出した。

僕たちはそのあとを付いていく。


ロンメルやデリンさんはそれぞれ
探知魔法を使って怪しいところがないか
探しながら進んでいるみたいだけど。
 
 

ロンメル

ん? ちょっと待て!

 
 
不意にロンメルが
声を上げて立ち止まった。
どうやら探知魔法に反応があったらしい。

見てみると、
通路の途中に飾られている風景画が
魔法力の光で淡く輝いている。



なるほど、
反応があった時は
こんな感じになるんだね。
 
 

 
 
 
次回へ続く!
 

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