女王様から語られたのは、
グランが世界の消滅を
企てていたということだった。

グランを倒したあとでも
それが問題になっているということは、
その危機がぬぐい去られていない
ということなのだろう。
 
 

デリン

グランがやらかした
大きな問題が
ふたつある。

デリン

まずは異世界から
強大な力を持った者を
召喚したということ。

トーヤ

それはモンスター
ですか?
異界の神か何かですか?

デリン

不明だ。だが、
召喚に成功したのは
確からしい。

トーヤ

でも僕たちは
そんなヤツと会ってない
ですよ?

 
 
もしそんなヤツがいたら
もっと苦戦していただろうし、
追い詰められたグランなら一か八かで
呼び出していたとしてもおかしくない。

なぜそれをしなかったのか……?
 
 

デリン

つまり召喚には
成功したが
制御できなかったか
何らかのトラブルで
実戦投入が
出来なかったのだろう。

デリン

まずはその者を探し出し
排除しなければならない。

ミューリエ

もうひとつの問題は――
これが圧倒的に
厄介なことなのだが……。

トーヤ

なんですか?

ミューリエ

消滅結界呪法。

トーヤ

消滅結界呪法?

 
 
聞いたことのないフレーズだ。

その響きから、
ヤバイのは直感的に理解できるけど。
 
 

ミューリエ

今、この場所には
魔界があり、
ゲートの向こうには
平界がある。

ミューリエ

トーヤ、
それは理解しているな?

トーヤ

えぇ、まぁ。

ミューリエ

だが、それとは別に
根本的に異なる世界が
たくさん存在している。
決して交わることは
ないがな。

ミューリエ

だが、どうやったのかは
知らんが、
グランはこの世界を含め
異世界同士を強引に
繋げることに成功した
ようなのだ。

トーヤ

えぇっ!?

ミューリエ

グランはその後、
世界間のバランスを崩し
意のままに世界を
消滅させようとしていた。

デリン

実現する前に
トーヤたちがグランを
倒したがな。

ミューリエ

ただ、
グランの腹心どもが
各世界へ派遣済みで、
今も消滅計画を進めている。

トーヤ

…………。

 
 
そうか、グランを守っているヤツが
極端に少なかったのには
そういうことも影響していたのか。

不老不死の糧になったやつばかりじゃ
なかったんだね……。
 
 

ミューリエ

それを防ぐには
この世界との繋がりを
維持する魔法玉を全て
破壊しなければならない。

ミューリエ

このままだと
世界間のエネルギーに
偏りが出来て
消滅してしまう。

デリン

つまり完全に各世界を
独立した状態に
戻してやる必要が
あるわけだ。

トーヤ

なるほど……。

デリン

現時点で
異世界間を移動する
ゲートは
発見されていない。

デリン

ただ、手がかりは
貴族院やグランの屋敷に
あると思う。

ミューリエ

その調査にトーヤも
同行してほしい。
薬草師としての能力と
トーヤの特殊能力が
きっと役に立つ。

トーヤ

そういうことでしたか。

 
 
グランの屋敷などに
どんなワナが仕掛けられていても
おかしくないもんね。

その時、僕の回復薬が役に立つだろうし、
状態異常無効化の特殊能力がある僕なら
全滅を防げる可能性が高まる。
 
 

タック

カレンには先ほど
説明をしておいた。
彼女はトーヤと一緒なら
屋敷を案内することを
承諾してくれた。

タック

グランの屋敷について
あいつほど詳しいヤツは
いないからな。

 
 
ま、グランの屋敷はカレンの実家だしね。

知らないことがあるにしても、
違和感に気付きやすいのは確かかも。
 
 

ミューリエ

そこでトーヤたちには
グランの屋敷を
探索してほしい。

ミューリエ

アレスたちには
貴族院の探索を
してもらう予定だ。

トーヤ

分かりました。
それで僕とカレンのほかは
どんなメンバー
なんですか?

デリン

俺とサララ、
エルムとロンメルだ。

アレス

僕のパーティは
シーラとタック、
ビセットさん、
クレアさん、
アポロ、ユリアだよ。

ミューリエ

出発は一週間後。
心構えを
しておいてほしい。

トーヤ

はいっ!

 
 
僕は力強く返事をした。
世界を守るためだもん、当然だ。


それにしても、
グランを倒してようやく平和が訪れると
思っていたのに、
そう簡単には落ち着かせては
もらえないらしい。


もしかしたらグランが最期に
ニヤリとしたのは
カレンのことだけじゃなくて、
世界の消滅に関してのことも
あったのかも。

とにかくあと少し、
がんばらなくっちゃ!
 
 

 
 
 
次回へ続く!
 

pagetop