月が夜空に浮かび、
無数の星々が煌めいている。
――それは夕食を終えて
しばらく経った頃のことだった。
月が夜空に浮かび、
無数の星々が煌めいている。
――それは夕食を終えて
しばらく経った頃のことだった。
トーヤ、茶を淹れに
来てやったぞ。
あ、女王様。
こんばんは。
事前に伝えられていたように、
ティーセットなどを持って
病室に女王様がやってきた。
ただし、女王様だけではなくて、
アレスくんとタックさん、
デリンさん、サララ、ノーサスさん、
ブラックさんも一緒にいる。
なんだろう、このメンバーは?
世界の賢人や首脳が集まった感じがする。
やっぱりただのお茶会というわけでは
なさそうだな……。
アレス、
ティーセットを
出してくれ。
うんっ!
サララは湯を。
はいですっ。
女王様の指示でアレスくんとサララは
カップやポットなどの準備を始めた。
一方、タックさんたちは
病室内にある椅子を出してきて
そこに座る。
そしてお茶の準備が出来たところで
女王様は話し始めた。
トーヤの活躍もあって
魔界は平定の方向へ
向かいつつある。
感謝する。
いえ、みんなで力を
合わせたおかげですよ。
そうだな。
そしてトーヤも
そのひとりというわけだ。
ありがとう。
てへへ。
女王様に直々にお褒めいただけるなんて
すごく嬉しい。
がんばって良かったなぁって思う。
ま、グランをはじめ、
貴族院の連中は私ですら
手に余ったからな。
だが、今回の一件で
抵抗勢力が一掃できた。
これで女王様の
理想の実現は大きく前進
したというもの。
良きことです。
ノーサス、無粋だぞ。
これは失礼しました。
コイツの
言っていることは
その通りだけどな。
身も蓋もないが。
さすがは
賢者デタックル。
ドライな男よ。
お前には
言われたくねぇ。
まぁまぁ。
ただし、これで世界から
完全に災いの火種が
消えたわけではない。
そうですよね。
まだ小さな争いとか
続いている
らしいですもんね。
それは……
そうなのだが……。
女王様は落胆したような顔で
深いため息をついた。
どうしたんだろう?
何か僕の発言が的を射ていないような
そういった反応だけど……。
つまりもっと別の
不安材料みたいなものが
あるってことなのかな?
トーヤ、実はグランは
とんでもないことを
していたようなのだ。
えっ?
極秘の調査で
分かってな。
デリンさんの表情は曇っていて
深刻そうだった。
そういえばデリンさんは
グランが色々とやっているって話を
していたような気がする。
そうだ、
転移魔法でギーマ老師やエーデルを
副都に連れてきた時だ。
オイラも話を聴いた時は
たまげたぜ……。
タックさんは
話の中身を
知っているんですね?
デタックルだけではない。
ここにいる全員が
すでに知っている。
事態はそれだけ
深刻ということだ。
…………。
グランは何を
企てていたんです?
……世界の消滅。
世界の消滅っ!?
正確には
それを交渉材料に
私たちを従わせようと
していたということだ。
…………。
予想だにしない事実だった。
まさかグランが
そんなことを考えていたなんて。
でもグランは倒したわけだし、
それこそアレスくんや女王様、
みんなが協力すればなんとかなりそうな
気がするんだけどな……。
でもそうでないってことは、
何か事情があるんだよね、きっと。
次回へ続く!