スカーレット・エクレール

ファノンが、”女神の皇子”を強引に誘拐して強姦したんですって?フェニキア王国の王立大学教授だった彼を強引に誘拐して

スカーレット・エクレール

…最低ね。どうしてあの子はやることがこう、極端なんでしょう?

アズラエル

ファノンお姉さまを、悪く言わないでください!スカーレットお姉さま!あんな遺言を遺したお婆様が悪いんだ!

スカーレット・エクレール

そして、今は”女神の皇子”の祖母を人質にとって城に軟禁状態らしいわね。でも、”女神の皇子”ってただの昔の神官だった人でしょう?

アリエル・エクレール

それがね~、聞いた話だと結構スゴイらしいわよ~?

 アリエルと呼ばれる若い女の子はそこで従姉妹で姉のスカーレットに、まるで面白そうに、馬鹿にするようにその”噂話”をした。
 心底、楽しそうにだ。

アリエル・エクレール

何せ、ファノンお姉さま。仕事以外の時間は、今まで下僕として扱った男にも見向きもしないで、その”女神の皇子”と共に寝室に籠ってやっているんだって!!

スカーレット・エクレール

へえ~?あの、噂は本当だったの?言い伝え通りね

 金髪美女の姉・スカーレットも興味津々である。二人して唇を笑みにして笑っている。
 その現場を見ている、従弟のアズラエルは怒りで真っ赤になって怒る。

アズラエル

俺の前でその話はやめてくれよ!全く、女性として恥ずかしくないのか!?二人とも!

 その二人の女性はというと、そのファノンの下ネタ話に花が咲いている。どうやら、この二人の女性もそれなりどころかそういう話は大好きな様子らしい。
 アズラエルが怒っているのを見た二人は笑って、元の話に戻った。

アリエル・エクレール

でも、ひどい話よね~。私達だってこのフェニキア王国の女王の”資格”は持っているはずなのに

アズラエル

それを言ったら、アネットにもあるだろう?

スカーレット・エクレール

彼女は論外ね。でも、興味があるわ。同じ、エクレール家の女性としては…。ふふっ


 この会話を交わしているのは、ファノン・エクレールと同じ、エクレールのファミリーネームを持った姉妹と弟たちだった。
 アリエル、スカーレット、そして弟・アズラエル。彼女らはある別の城の一室にて、この会話をしているのだ。

 
 一方、その頃。あのファノン・エクレールが住む”背徳の宮殿”では、今、”女神の皇子”は彼女の凌辱の中にいた。

エリオット・アルテミス

もう、やめてくれ…!!

 彼が真っ黒な革製の首輪をかけられ、その首輪にはじゃらじゃら鳴る金属の鎖の音が響いている。手首、足首にも鎖で固定され、四肢を動かすのを制限されてしまっている。
 その前には、乗馬で使う鞭を手にしたファノンの姿が。彼女は手に持つ鞭を弄びながら、拘束されて思うように動けない彼を弄び、心底楽しんでいる様子だった。
 彼女の鞭が、彼の下半身を叩く。容赦のない責めを受けるエリオット。その顔を苦痛で歪ませる。
 彼は衣服こそ纏っているが、それでも水色のシャツに青いジーパンというラフな格好だった。
 今はファノンの自室で、ひどい責め苦を受けている。天井から吊るされた鎖が彼の両腕を拘束している。両脚も鎖で拘束されている。
 そう。絵に描いたようなSMみたいに。
 やがて、彼女はその鎖から解放される”条件”を彼の口から言わせる。

ファノン・エクレール

やめて欲しいなら私にどうすればいいのかわかるはずよね?

エリオット・アルテミス

わかっている。あなたを悦ばせること…

ファノン・エクレール

なら、さっさと舐めなさい。ここを

 彼女が鎖を外した。おもむろにベッドに腰をかけるファノンは股を開く。彼女の真っ赤なパンティーが見えた。それを彼の手で下ろさせる。そして足首まで下ろした彼は、両膝をついて、まるで犬のように彼女の花びらを慰め始めた。
 彼の健康的なピンク色の舌が、丁寧に花の芯を舌先で舐める。ナイフみたいな鼻で刺激する。彼が無理矢理、オーラルセックスを強要された。
 彼の瞳は閉じている。額には汗が滲み、顔を苦痛と屈辱で歪ませている。

エリオット・アルテミス

ハーブティーで”不眠症”を治すという”賭け”に負けた俺は、昼夜を問わず、身体を貪られる。彼女の”夫”になることを承諾してしまったせいで。いっそのこと、何もかも、忘れてしまいたい…!

 彼女が”調教師”で、俺は”犬”。
 調教師の指を指す方へ、囚われた檻の中で。
 調教師の指示をすることを間違えたら、お仕置きが待ち、調教師の鞭の音が夢の中まで止まないで、調教師の喉が見えても噛みつき方を忘れたみたいに。
 馬鹿げた世界に、さよならと手を振って、新しい世界はまだ地平線のその先に。
 失くしたプライドへは、さよならと手を振って、彼女の前に残されたのは、従順な尻尾を振る”犬”だけが残った。
 繋がれた鎖の先の愉快気な嗤い声。繋がれた鎖の端を握る気配を感じる。
 繋がれた鎖の音に、何故か俺は心地よさを感じて、開かれた檻の外の世界に、憧れを感じる…。
 抑制された四肢に刻まれていく傷痕と身体に触れるものがただ一つの真実。
 貫く痛みの中、思考さえも溶けていく。残された俺の身体にある彼女の爪の痕、夢と現が壊れていく…!

ファノン・エクレール

うまいわね。さすが、”女神の皇子”はセックスに関しても研究熱心だこと…

 ローズピンクのセミロングが乱れ始める。彼女が切なげに喘ぎ始める。だが、彼女は自分がそのオーラルセックスで絶頂に行かせるまでけして彼の頭を離そうとしない。銀髪を乱暴に掴んで、自分から己の花びらへ彼の顔を押し当てる。
 息が苦しい。だが、ずっとこうして舌を這わせないと彼女の鞭が飛んでくる。自分の首に。
 もう何分、彼女にこれをされているのだろう?ずっと、液体を飲んだのはこの彼女の欲望の蜜だけだ。まともな液体を飲みたい…!
 彼女が淫らな叫び声を上げる。そこを更に欲望で濡らして、ベッドのシーツが汚れていく。彼はまるでラストスパートをかけるが如く、激しく舌を動かし始める。
 もう、さっさと”快楽”の絶頂へ駆け上がって欲しい。

ファノン・エクレール

い、イクーーーっ!!

 彼女の花びらから透明な液体が潮を吹くように噴き出ている。それを強引に飲まされるエリオット。これでは、凌辱もいいところだ。
 やがて、彼女が命令する。自らの最高に高まった”欲望”を発散させようと、強引に彼にセックスを強要した。
 彼は半ば投げやりにズボンを下ろす。そして、散々自分を遊び道具にしたこれで、彼女の花びらをえぐるように貫く。
 その行為はドアを開けた瞬間、絶対見えるようにわざと彼女はしている。そうやって、この”女神の皇子”が自分の所有物であることを見せつけるのだ。

ファノン・エクレール

はあっ…はあっ…もっと、もっと激しく突きなさい!もっと、奥まで!!

エリオット・アルテミス

くうっ!!

 彼も自然と淫らな腰遣いになっていく。まさに誰でも虜にしてしまうような、女性を悦ばせるためだけの腰遣い。
 強姦のようなセックスを毎日のように強要され、もはや彼には、何が”快感”で何が”苦痛”なのか、わからない。完全に頭のヒューズが飛んでしまった。
 この城では、”女神の皇子”も他の男と同じ、”犬”だった。無理矢理、調教を受けてきた”忠犬”だ。
 その強姦のようなセックスの真っ最中、アネットがドアを開けた。
 彼女の青い瞳が当惑に輝き、そして申し訳なさそうに目を伏せる。

アネット・エクレール

……!

ファノン・エクレール

何?アネット?要件だけ、話して?

アネット・エクレール

アズラエル様がお見えになっております…

ファノン・エクレール

わかったわ。シャワーを浴びてから、そちらに向かうわ

アネット・エクレール

はい…

エリオット・アルテミス

おい…!なんてシーンを彼女に見せつけるのだ!

ファノン・エクレール

文句なら、アネットに言いなさい。続きは、夜よ!

 そして、強引に彼の唇を奪う。彼が強引に瞼を閉じた。
 そして、彼は抗議の声を彼女に言う。

エリオット・アルテミス

もう、抜かせてくれ!これ以上は…うあっ…!!

 そして、彼は出したくもない欲望の蜜をその場で出してしまった。彼女の身体を汚してしまう。
 ファノンは、もう何度も言っている台詞をまた吐いた。

ファノン・エクレール

あなたはもう、私だけの”物”よ。私だけのことを考えていなさい

エリオット・アルテミス

俺は、君の”所有物”ではない

ファノン・エクレール

随分と口答えが達者になってきたじゃない?

エリオット・アルテミス

ああ。そうだね。君に鍛えられたおかげだよ

ファノン・エクレール

自分が気持ちいい時は、とても従順な癖に

エリオット・アルテミス

ちっ…

ファノン・エクレール

あなたの作る料理も、ハーブティーも飲んであげてもいいわよ。夜のマッサージをしてくれるなら、ついでにセックスもさせてくれるならね

エリオット・アルテミス

いいから!早く、行ってくれ!

 彼は脱ぎかけていた水色のシャツに袖を通しながら、投げやりに応対する。青いジーパンを穿く。
 彼女が去った自室で、彼はようやく自由に身体を動かすことが出来て、胸をなで下ろす。だが深いため息をついた。
 そして、自分自身がだんだん淫乱になっていくのを、軽蔑し始める。

エリオット・アルテミス

何て俺は淫乱な男だろう…?俺は自分が信じられない。すっかりと彼女の性への欲望に触発されて、”快楽”を貪ってしまっている…

 だが…何故か、彼女の前だからこそ、一番素直になっているような気もする…。
 この”背徳の宮殿”で、彼女の言葉だけが、唯一、信じられるような気がするのは気のせいだろうか?
 ベッドにそのまま横になるエリオット。唐突に涙が一滴、流れた。彼の紫水晶の瞳は、悲しい輝きを宿す。

 身支度を整えたファノン・エクレール。ビジッと決めたスーツを纏い、傍らのアネットに細かい指示を出した。

ファノン・エクレール

エリオットがいた離れの魔法の水鏡が外していいわ。それから、離れにある彼の私物も、私の城へ持ってきなさい

 アネットは何も言わず、疑いの表情を浮かべている。過去にファノン自身が呟いた言葉が気になって。

アネット・エクレール

いくら、”夫婦”とはいえ、共に暮らすのはまっぴらごめんと言っていた、ファノン様らしくないですね…

ファノン・エクレール

面倒臭いだけよ。この城は広いから

アネット・エクレール

本当にそうでしょうか?

 彼女がファノンに本心を聞きだそうとする。そこでファノン・エクレールは言い切った。

ファノン・エクレール

バカバカしい。私が他の誰かを心の底から”愛する”ことがないのは、あなたが一番理解しているのでしょう?

 言い切って、彼女は、従弟・アズラエルの下に向かった。
 後に残されたアネットは、ただその後ろ姿を見つめることにしかできなかった…。

2-1 パラダイム・シフト

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