道具や現時点で揃えられる
薬の材料が揃い、
あとは足りない材料を
タックさんたちが持ち帰ってくれるのを
待つだけとなった。

それまでに僕はギーマ老師のために
エリクサーを調薬し、
その後はギーマ老師から
カレンを元に戻す薬の調薬方法を学ぶ。



ギーマ老師は僕のエリクサーで
少しは怪我や体調などが
改善したみたいでだいぶ顔色がいい。

でも逆に言うと
それでも全快しないんだから
それだけ体へのダメージは
大きかったんだろうな。




一方、カレンとライカさんは
僕の調薬を見て
勉強をしているようだった。

エーデルは
ボーッと調薬を見ていたみたい。

彼女は薬草師や医師ではないから
どんな作業をしているのか
理解出来てないんだろうな。




こうして本番の調薬に備えていると――
 
 

タック

待たせたな~☆

トーヤ

タックさん。

アレス

材料を採ってきたよ。

トーヤ

わぁ、ありがとう。
アレスくん!

シーラ

私たちの担当だった材料は
全て揃いました。

ビセット

さぁ、お祝いに
ハグしましょう。

トーヤ

え、遠慮します……。

タック

コイツは無視してくれ。

ビセット

ふたりともひどーい♪

 
 
ビセットさんの反応はともかく、
アレスくんのチームが無事に戻ってきた。
材料も集めてくれたみたい。

あとはクレアさんのチームと
デリンさんのチームだけど……。
 
 

デリン

戻ったぞ。

サララ

お待たせしましたっ!

アポロ

バッチリ持ってきたぜ!

ユリア

トーヤくん、
準備は進んでる?

トーヤ

デリンさん!
それにみんなも!

 
 
噂をすればなんとやらで、
今度はデリンさんのチームも
転移魔法で戻ってきた。

そして残るは
クレアさんのチームだけだなと
思っていると、
空間が揺らいでクレアさんたちが現れる。
 
 

クレア

持ってきたわよ。

クロード

入手に時間が
かかりそうな材料は
商人ギルドの
ネットワークを通じて
手に入れてきました。

ロンメル

我の手下どもも
総動員したぞ。

エレナ

私だって
走り回ったんだから。

トーヤ

皆さん、
ありがとうございます。

 
 
僕の目の前にはカレンの体を
元に戻す薬の材料が揃っていた。

こうして無造作に置かれているけれど
いくつかは手に入れるのが
難しいものもある。
それがこんなに短時間で集まるなんて
全てみんなのおかげだ。




嬉しくて涙が出そうになる。

するとその時、
ギーマ老師が僕に近付いてきて
僕の頭を小突く。
 
 

ギーマ

トーヤ、喜ぶのは早いぞ。
感傷に浸るのは
薬が完成して
カレンが元の姿に
戻ってからだ。

トーヤ

そうですよね。
では、調薬に入ります。

ギーマ

よし、お前ら。
調薬の邪魔になるから
調薬室から出てくれ。

タック

じゃ、オイラたちは
上の部屋で茶でも飲むか。

クロード

あ、それなら私が
淹れますよ。

クレア

私はその間に
各地へ伝令に向かうわ。
戦いは終わったってね。

クレア

デリン、手分けして
行きましょう。

デリン

分かった。
サララ、付いてこい。

サララ

はいですっ!

 
 
こうしてギーマ老師の言葉を聞くと、
カレンとライカさん以外のみんなは
調薬室を出ていった。

ここから先は僕のがんばりが全てだ。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
直後、僕は調薬の作業に入った。

ギーマ老師の指示で
材料を熱したり乾燥させたり抽出したり。
作業はライカさんにも手伝ってもらう。

そして一部は
こうして出来たものをもとに、
さらに別の成分を抽出することに使う。


いきなり目的のものが
作れるわけじゃなく
何段階か経ないといけないものも
多いから
根気と集中力の持続が必要だ。

また、液体に固体を混ぜるとか、
少しずつ合成するとか、
順番や手法、
タイミングが重要になる場合も多くて
高度な薬の調薬は本当に気が抜けない。


そして必要な成分が生成できたあとは
分量を量って調合する。




こんな感じで調薬は進んでいき、
カレンの体を元に戻す薬は
完成まであと一歩というところまで
到達したのだった。
 
 
 
 
 

 
 
 
 
 

ギーマ

よし、あとはこの液体に
魔術の儀式をして完成だ。

トーヤ

あの、僕はまだ
高度な魔法は
使えないのですが?

ギーマ

微量でも魔力があれば
問題ない。
魔力がゼロってことは
ないだろ?

トーヤ

えぇ、今は。
以前は
ゼロでしたけどね。

ギーマ

そうなのか?
まっ、
今、魔力があるなら
それでいい。

ギーマ

じゃ、床に炭素石で
魔方陣を描いて、
中心に血液を一滴垂らせ。
間違えるなよ?

 
 
 
 
 

 
 
 
 
 
僕はギーマ老師から魔方陣の図柄が
描かれたメモを受け取ると、
指示された通りにした。

すると魔方陣が魔法力の光で
淡く輝き出す。
 
 

ギーマ

トーヤ、
液体の入った瓶を持って
魔方陣に入れ。

ギーマ

そして自分の
生命エネルギーをその中へ
注ぎ込むイメージを持ち
念じ続けろ。

トーヤ

それで完成するんですね?

ギーマ

そうだ。
魔方陣が媒体となって
生命エネルギーが
薬に作用する。
完成したかどうかは
感覚で分かるはずだ。

トーヤ

はいっ!

 
 
僕は小瓶を持って魔方陣の中心に立った。
周りではギーマ老師とカレン、
そしてライカさんが見守ってくれている。



さぁ、薬の完成へ向けて最後の仕上げだ。
 
 

 
 
 
次回へ続く!
 

第251幕 最後のがんばり!

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