敵対していたカレンと
元のカレンは融合した。

それとともに
元のカレンを拘束していた茨が消え
存在感もモンスターのカレンと
同等に高まる。
 
 

トーヤ

モンスターのカレン、
キミの気持ちは?

カレン?

正直、自分が
消えるのは怖いです。
でもそれは違うのだと
今、分かりました。

トーヤ

えっ?

カレン?

私は私。
どんな状態になっても
それは変わらない。

カレン?

トーヤの気持ちも
変わらない。
どんな私も愛しく
感じてくれている。

トーヤ

当然だよ!

カレン?

私が意識を持った時、
周りにいる全てが
敵に見えた。
恐ろしかった。

カレン?

でもトーヤは
私をしっかりと見て
声をかけ続けてくれた。
それで私はトーヤが
自分にとって特別な人だと
直感で気付けたんです。

トーヤ

そうだったんだ。

カレン?

私への想いは
ずっと変わらないのだと
信じられます。

カレン?

だから私は
元のカレンさんと
ひとつになります。

トーヤ

短い間だったけど
ありがとう。
キミのこと
ずっと忘れないよ。

カレン?

はいっ!

 
 
 
 
 
 
 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

モンスターのカレンは元のカレンの中に
入っていった。


すると次の瞬間、
カレンは強く光り輝いて
存在感がしっかりとしたものになる。

また、この心の世界も霧が晴れ、
神々しい銀色の光へと変わる。
 
 

トーヤ

お帰り、カレン。

カレン

ただいま、トーヤ。

カレン

…………。

カレン

……トーヤぁあああぁっ!

 
 
 
 
 

 
 
 
 
 

 
 
僕は号泣するカレンを強く抱きしめた。

その温かさも匂いも柔らかさも
全てに現実感がある。
なんだか懐かしい気分。
もうカレンを離したくない。

こんなにも愛おしさを感じたことはない。
こんなにも幸福感と胸の高鳴りを
感じたことはない。

全身が熱い。
カレンの息遣いがハッキリ聞こえる。
 
 

トーヤ

大好きだよ、カレン。

カレン

私もトーヤのこと、
愛してる。

 
 
僕たちは見つめ合い、
自然と唇を重ねていた。


魂が一体になるような感覚。
柔らかさとか体温とか、
そんなことよりもその感覚が強い。

こんなにも心地良いものなのか。




やばいよ、
僕はもうカレンなしでは生きていけない。
そんな気がする。
 
 

エーデル

はいはーい。
私がいることを
忘れてません?

トーヤ

あっ!?

カレン

っ!?

 
 
声のした方を振り向くと、
エーデルが白い目で僕たちを見ていた。

それに気付いた僕とカレンは慌てて離れ、
恥ずかしさに顔を赤くする。

照れくささとは違った熱さ――。
 
 

エーデル

トーヤ、
そろそろ戻るよ?
カレンの心が
崩壊しても良いのなら
話は別だけど。

トーヤ

あ……。

 
 
そうか、こうしている間にも
カレンの心には負担がかかっているんだ。



名残惜しいけど
僕は戻らなければならない。

でもすぐに元の世界で
カレンに再会できるんだ。寂しくはない。
 
 

カレン

トーヤ、またね。
現実世界で会おうね。

トーヤ

うん。
絶対に調薬を成功させて
体も元に
戻してあげるからね。

カレン

信じてる。

エーデル

んじゃ、帰るよ。

 
 
僕はエーデルに手を引かれ、
カレンの心の世界をあとにした。




僕とエーデルの体が浮かび上がり、
カレンの姿が遠く離れていく。

彼女はずっと手を振り続けて
見送ってくれたのだった。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
気付いた時には
僕は現実世界に戻っていた。
みんなが結果を知ろうと集まってくる。




そんなみんなに対し、僕は笑顔で答える。

大成功だったよ、と。
 
 

 
 
 
次回へ続く!
 

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