なんだろう、この心地よい感触は。
まるで雲の中にいるような柔らかさ。
それに温かい……。
そうか、僕はカレンの一撃を食らって
天に召されたんだ。
でもおかしいな。
僕は絶対に地獄行きなのに、
雲の中にいるということは天国行きなの?
なんだろう、この心地よい感触は。
まるで雲の中にいるような柔らかさ。
それに温かい……。
そうか、僕はカレンの一撃を食らって
天に召されたんだ。
でもおかしいな。
僕は絶対に地獄行きなのに、
雲の中にいるということは天国行きなの?
え……。
僕はゆっくりと目を開けた。
すると僕の傍らにはカレンがいた。
姿はモンスターのままだけど。
柔らかくて心地のよい
モフモフの体毛が僕を包んでいる。
カレン?
ゴロゴロゴロ……。
カレンは微笑んでいるような気がした。
すっかり敵意は消えている。
やった……やったぁ!
これでカレンは殺されなくて済む!
僕は嬉しくなって
カレンをギュッと抱きしめた。
カレン……カレン!
大好きだよ、カレン!
ゴロゴロゴロ……。
カレンは僕の顔を愛おしそうに舐めてくる。
胸の奥が熱い。高鳴ったまま収まらない。
最高に嬉しい気分。
トーヤ!
っ!?
がぁあああぁ……。
突然、カレンは
僕に近寄ろうとするみんなに対して
敵意を向けた。
どうやら心を開いてくれたのは
僕に対してだけみたい。
カレン、落ち着いて。
フー!
みんな、
僕に近寄っちゃダメだ。
そのままの距離を
保っていて。
どうやらそのようですね。
このまま話をしましょう。
カレンさんには
そのままの位置に
いてもらって、
トーヤさんだけこちらに
来てもらっては?
そればダメだな。
カレンが寂しがる。
このままの状態が
いいよ。
ねっ、トーヤくん?
うんっ!
アレスくんに対してカレンは
少しだけ敵意を緩めたような気がした。
さすが、
勇者の力が作用しているだけある。
一方、ライカさんやクロードに対しては
強い敵意を持っているみたいだけど。
……そういうところはやっぱりカレンだね。
まったくアレスといい、
トーヤといい、
奇跡ばっかり
起こしやがる。
タック殿、
そういう人物たち
だからこそ、
この場にいるのかも
しれませんよ?
……かもな☆
でもカレンちゃん、
今後はどうするの?
どこかで保護しないと
ダメでしょう?
そのままには
しておけませんものね。
一度、ミューリエさんに
相談してみては
いかがですか?
セーラ様も何か
良いアイデアを
出してくれるかも。
そっか、僕にはたくさんの仲間がいる。
僕だけでは
絶対に解決できないことばかりだけど
みんなと一緒なら乗り越えられる。
そんな気がする。
やはりややこしい事態に
なっているようだな。
その時、空間が歪んで誰かが現れる。
これは転移魔法。
そうか、副都の結界がなくなったから
転移魔法で直接、
移動してこられるようになったのか……。
だが、そこそこ
落ち着いた事態にまで
収まっているようだな。
デリンさん!
デリン!
ご無沙汰でした、
トーヤくん。
サララ!
やるじゃねーかよ。
トーヤ。
ギーマ老師!
大丈夫なんですか?
なんとか……な……。
しぶといのだけが
取り柄なんだ。
転移魔法でやってきたのは
デリンさんとサララ、
それにギーマ老師だった。
ギーマ老師は手当を受けたようだけど、
やっぱりまだ全快には至っていないみたい。
私がいることも
忘れないでよね。
えっ?
あなたはエーデル?
デリンさんの影から現れたのは
サキュバスのエーデルだった。
かつて温泉街で悪さをしていて、
捕まったはずだけど。
どうして彼女が一緒にいるの?
次回へ続く!