カレンに向かって歩み寄っていく僕。

するとようやく完全にモンスター化が
完了したカレンは
大きな咆哮を上げて突進してくる。

でも僕は心を強く持ち、
真っ直ぐカレンを見つめたまま
歩みを進める。
 
 

カレン?

がぁあああぁ!

 
 
カレンは飛び上がり、
その勢いとともに僕へ襲いかかってくる。

前足による鋭い爪の一撃が
僕の腹へと繰り出される。
 
 
 
 
 

 
 
 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

トーヤ

ぐがっ!

 
 
全身を駆け抜ける鈍痛。
防御魔法のおかげで爪による傷跡は
軽微なもので済んだ。

だけど衝撃までは防げなかったみたい。
わずかに吹き飛ばされてしまう。




でもこれなら魔法の効果が続いている限り
耐えられそうだ。

……逆に言えば、
魔法の効果が途切れたら、
あっという間におしまいだろうけど。
 
 

トーヤ

痛いよ、カレン。
少しは加減してよ。
いつも乱暴だなぁ。

カレン?

ぐるるる……。

カレン?

がぁああああぁ!

 
 
 

 
 
 

トーヤ

ぐはっ!

 
 
一撃目よりもダメージが大きい。
気に障っちゃったのかな?

失敗、失敗……。
 
 

トーヤ

カレン、怒らないでよ。
僕はキミの味方だよ。

トーヤ

例え世界を
敵に回したとしても
僕はカレンの味方だ。

トーヤ

僕の力なんて
大してことはないけど
せめて壁にはなるよ。

カレン?

があああああ!

 
 
 

 
 
 

トーヤ

うくっ……。

 
 
ますます攻撃が激しくなった。
肋骨にヒビくらいは入ったかも。

でも肺に突き刺さらなくてよかった。
 
 

トーヤ

僕は弱い。
でもね、僕は
守られるだけじゃ
本当は嫌なんだ。

トーヤ

一緒に歩いていこう。
カレン。
今度は僕が
キミを守る番だ。

カレン?

がぁああああっ!

 
 
 

 
 
 

トーヤ

ぐはぁっ!

 
 
まずい、身体強化の魔法の効果が消えた。
ダメージが確実に大きくなってる。

防御魔法も……消えていく……。
 
 

タック

トーヤ!

アレス

トーヤくん!

アポロ

トーヤ!

トーヤ

みんな、来ないで!
僕とカレンは
話をしているんだ!

 
 
僕が叫ぶと、
みんなは口を噤んで再び見守る姿勢へ戻る。

ありがとう、みんな。
 
 

トーヤ

カレン、そばにいて。
僕から離れないで。
もう離ればなれになるのは
嫌だよ。

 
 
 

カレン?

がぁああぁっ!

 
 
 
 
 

 
 
カレンが鋭い牙を煌めかせ、
僕に噛みつこうと駆け寄ってくる。




あぁ、僕はこのまま死ぬんだな。
でもカレンに殺されるなら本望だ。

ごめんね、心を開いてあげられなくて。
守ってあげられなくて。
 
 

トーヤ

大好きだよ、カレン。

 
 
僕はそう呟くと、最期の瞬間を待った。
 
 

 
 
 
次回へ続く!
 

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