その場に重苦しい空気が漂う中、
前に出る人物が現れた。
――アレスくんだ。
その場に重苦しい空気が漂う中、
前に出る人物が現れた。
――アレスくんだ。
僕はトーヤくんに
賛成だよ。
殺すだけが解決法だと
決めつけるのは早いよ。
あのモンスター、
元々はカレンさんなんだ。
カレンさんとトーヤくんの
心の絆を僕は信じたい。
アレスくん……。
ですね。
アレスには動物たちと
心を通わせられる力が
あります。
トーヤ様とカレン様に
似たようなことが起きても
不思議じゃありませんよ。
私もトーヤとカレン様を
信じたいです。
クロード!
アレスくんやシーラさんに続いて
クロードが僕に賛同してくれた。
クロードは僕に微笑みかけてくれる。
理由は分かりませんが、
ふたりには不思議な絆を
感じるんです。
だから試してみる価値は
あると思います。
タックさん、
私からもお願いします。
ライカさん……。
カレンさんの
トーヤさんに対する
想いは誰よりも強いです。
奇跡は起きますよ。
僕も兄ちゃんに賛成です。
我もな。
使い魔としては
反対できまい。
お前ら……。
タックさんは目を瞑り、考え込んだ。
数秒の間。
そのあとタックさんは
僕の意思を確認するように見つめてくる。
危険だと判断したら
計画を中止させる。
カレンも殺す。
それでいいか?
いいえ。
なんだとっ?
僕の命が尽きるまで
見守ってください。
そのあとはお任せします。
トーヤ……。
カレンは素直じゃないから
抵抗すると思うんですよね。
だから最期まで
見守っててもらわないと。
カレンちゃんなら
ありえるわねっ♪
……分かった。
そういうことなら
お前がどんなに
攻撃されても止めない。
アレスくん、
僕がピンチになっても
力を使って
カレンを止めないでね?
トーヤくん……。
アレスくんだって
シーラさんとの間に
誰かに入ってこられるのは
嫌でしょう?
ッ!?
トーヤくんも
言うようになったね。
うん、分かった。
約束する。
ありがとう。
こうして僕は体を自由にしてもらい、
タックさんやライカさんたちに
回復魔法や防御魔法、
身体強化の魔法をかけてもらった。
これなら例え攻撃されても
しばらくは耐えられるはずだ。
あとは僕の体力が続いている間に、
モンスターとなったカレンへ
想いが届くかどうか。
いくぞ!
僕は丸腰のままカレンに向かって
歩き始めた。
武器なんか持っていたら、
警戒されてしまうから。
例え使う気がなかったとしても
無意識のうちに戦意が現れてしまうかも
しれないからね。
モンスターは本能的に
そういう感覚が鋭いだろうし。
っ!?
大丈夫だよ、カレン。
僕は敵じゃないよ。
僕は笑みを浮かべ、
何もかもを受け入れる気持ちで
両手を広げて歩み寄っていく。
次回へ続く!