僕たちは玉座の間に到着し、
目の前にはグラン侯爵が現れた。
その横にいたのはカレン。
ただ、今は僕の知っている彼女じゃなくて
別の人格が意識を支配している。
なんとしてでも
本来のカレンを取り戻すんだ!
僕たちは玉座の間に到着し、
目の前にはグラン侯爵が現れた。
その横にいたのはカレン。
ただ、今は僕の知っている彼女じゃなくて
別の人格が意識を支配している。
なんとしてでも
本来のカレンを取り戻すんだ!
ギーマ老師はどこだ?
ギーマなら別の場所に
監禁している。
拷問に耐えられたなら
生きているだろう。
ゲス野郎が……。
久しいな、
賢者デタックル。
先代勇者の腰巾着として
ここを訪れて以来か。
…………。
腰巾着だなんて挑発をされても
タックさんは全く動じない。
落ち着いていてさすがだ。
すぐに平静を失う僕とは違う。
当時の顔ぶれで
生き残っているのが
貴様だけとは寂しいな。
我が手で全員を
殺してやりたかった
のだがな。
そりゃ、残念だったな。
人間はオイラたちと違って
寿命が短いんだ。
仕方ないだろ。
だがな、命も意志も
波紋のように伝播して
受け継がれていく!
大きくなっていく!
ふん、勇者アレクほどの
脅威は感じないがな。
いや、
例えアレクであっても
不老不死を手に入れた
今の我ならば
倒せるだろうがな!
フフ……。
高笑いをするグラン侯爵。
それに併せてカレンも無言のまま
肩を揺らして笑う。
くそ……
やはりすでに不老不死の薬を完成させて
それを使っていたか……。
変わらないな、
テメェのクソ具合は。
褒め言葉だと
受け取っておこう。
今にして思えば、
アレクを欺いてでも
テメェが瀕死状態の時に
消しておくべきだったぜ。
クク……そういえば、
テメェは泣き喚いて
命乞いをしたんだったな。
あの時の姿を思い出したら
笑えてきたぜ……。
…………。
グラン侯爵の表情がわずかに強張った。
タックさんの挑発に
カチンと来たのだろう。
そのことをこの場にいるみんなに
暴露されたことにも苛ついたのかも。
オイラはアレクほど
甘くねぇぞ?
それに今回はアレスの
反対を押し切ってでも
テメェを消す!
タック、反対はしないよ。
彼とは相容れない。
そういう相手は
倒すしかないから。
現役勇者様の
許可が出たぜ?
さっさと念仏でも
唱えるんだな。
舐めるなぁあああぁっ、
こわっぱどもがァッ!
不老不死の我が
負けるものかぁっ!
カレンよ、
全力でヤツらを
殲滅せよ!
はい、お父様!
ひとりたりとも
生きて返すな!
グラン侯爵とカレンは魔法力と戦意を
一気に高めた。
その波動で空間全体が震え出す。
でも不思議と僕の体は萎縮しなかった。
普通ならこんな恐ろしい力を
目の当たりにしただけで
全身がすくみ上がってしまうだろう。
そうならなかったのは、
なんとしてでも
カレンを救いたいという意思が
胸の中を支配していたからかもしれない。
アレスくん! シーラさん!
ふたりの力でグラン侯爵を!
ミリーさんとタックさんは
援護をお願いします!
っ!?
ん、分かった!
任せておいて、トーヤくん!
アレスくんは一瞬、
ビックリしていたみたいだけど、
すぐに頷いてくれた。
……ごめんね、僕が仕切っちゃって。
でも真の本隊は僕たちで、
僕がそのグループのリーダーだから
いいよね?
トーヤ様、お任せを!
承知!
任せておけ~☆
トーヤこそ、頼むぞ!
アポロ、ユリアさん!
それにビセットさん!
3人はカレンのこと、
お願いします!
エルム、
キミは遊撃部隊だ。
状況を見て援護を。
承知です!
……いいのかよ?
カレンとのやり取りを
お前がやらなくて?
適材適所だよ。
それに僕は3人を
信頼しているから
任せられるんだ。
トーヤ……。
よっしゃ、
もう何も言わねぇ!
カレンのことは
任せておけ!
頼んだよ!
トーヤくんの期待に
応えてみせるから!
お任せください、
トーヤ殿!
でも戦いが終わったら
抱きつかせてくださいね♪
てはは……。
いよいよ僕たちは戦闘を開始する。
グラン侯爵とカレンのどちらも強敵だけど
みんなで力を合わせればきっと勝てる。
僕はそう信じてる!
次回へ続く!