フェニキア王国の都市である首都・フェニキアの高級レストラン”アフロディーテ”にて、約束の時間、午後六時。
エリオット・アルテミスは、相手がエクレール家の女性のそれなりの地位を確立している人物ということで、割とお洒落なスーツを纏い、その席に出席した。
ブラック系のフォーマルな衣装を着て、高級レストラン"アフロディーテ"にその姿を現したエリオット・アルテミス。
さすがにいきなりの誘いで完全な夜の礼服は用意出来なかった彼だが、それでもセミフォーマルな整ったブラック系のスーツを着ている。ネクタイは落ち着いた青いネクタイ。ワイシャツは白く、そして今は夜なので彼の最大の特徴である紫がかった銀髪もきちんと整えてきていた。
自分の真正面に座る女性・・・ファノン・エクレールは品のあるイブニングドレス姿だった。とても品格のある深い紅のドレスを身に纏い、腕には長手袋。首には華美なネックレスが輝いている。ローズピンクの髪の毛も美しい。
少しその美しさに見惚れつつ、彼は出された食事を口にする。だが、緊張し過ぎて味の判別が出来ない。美味しいには美味しいが、それをどう表現したらいいのかわからない。