スアラが禁呪によって呼び出した魂。
それを見てアレスくんたちは
息を呑んでいる。
驚き方からすると、
その裏には何かがあるに違いない。
スアラが禁呪によって呼び出した魂。
それを見てアレスくんたちは
息を呑んでいる。
驚き方からすると、
その裏には何かがあるに違いない。
そんな……。
フフフ……
ウフフフフ……。
こんな日が来るなんて
思ってもみなかったわ。
恨みを晴らす機会が
訪れるなんてね……。
シャイン……。
シャインって
ノーサスの四天王だろ?
えっ?
名前だけは聞いたことがある。
シャインというのは
ノーサスの四天王のひとりであり、
その中で誰よりも残虐な性格だったとか。
ただ、アレスくんたちとの戦いの中で
自爆して果てたはず。
――そっか、その魂を呼び出したのか。
それでアレスくんたちは驚いているんだ。
でも四天王のひとりだということは
相当な実力者ってことだよね?
デリンさんよりも強かったらしいし。
来い、私の元へ。
…………。
その呼びかけに応じ、
シャインの魂はスアラの体に
吸い込まれていった。
そしてひとつになった瞬間に
体から溢れ出る邪気が数倍に膨れあがる。
ドス黒い気配と圧倒的な威圧感。
見ているだけで吐き気がしてくる。
また別の魂が
魔方陣から出てきたぞ!
今の時点でもかなりヤバイ状況なのに
魔方陣の中から
次の魂が浮かび上がってくる。
今回も徐々にヒトガタにな――えっ!?
…………。
ヒッ!
それを見た瞬間、
僕は全身に鳥肌が立った。
しかも全身が震えて胸が締め付けられて、
呼吸が激しく乱れる。
立っていられなくて、
僕は思わずしゃがみ込んでしまった。
アイツは本気で僕を殺そうとしていた。
記憶の奥に刻みつけられていた恐怖が
明確によみがえる。
お、おい、トーヤ!
大丈夫かよっ!?
トーヤくんっ?
エミット……。
それはかつて隠れ里の近くで
アレスくんと初めて出会った時、
襲ってきたノーサス四天王の筆頭だった
エミットの魂だった。
――恐ろしくて直視できない!
こうして復讐の機会を
与えてくださった運命に
感謝いたしますわ……。
来い、私の元へ!
……もうエミットの魂は融合されて
目の前から消えただろうか?
恐る恐る顔を上げて様子を窺う。
するともはやエミットの魂は
その場にない。
そういうことか……。
どうしたんですか?
あの禁呪は
魂を呼び出して
自らの力に変える魔法だ。
そう言ってましたね。
ただ、自分よりも実力が
大幅に上だったヤツの魂は
おそらく御すのが難しい。
にもかかわらず、
アイツは上位の魔族の魂を
御している。
そうですよね。
四天王の格は
魔王に次ぐもの
ですもんね。
スアラの格は
四天王以下のはず。
それでも御している。
その通りだ。
ただ、例外はある。
例外?
それはこれから
戦おうとしている相手――
今回の場合に関して言えば
オイラたちに対して
負の感情を持つ魂だ。
えっ?
使役する者とされる者。
利害が一致するから
御しやすい。
なるほど……。
結果論になるが、
命を奪う行為を
アレスが嫌いで助かった。
呼び出される魂の数は
限られるからな。
そっか、もしアレスくんが好戦的だったら
殺された魔族やモンスターなどの数も
多かっただろうなぁ。
結果、
デリンさんやノーサスも殺されていて
その魂がスアラに力を
与えていたに違いない。
因果って自分に返ってくるというけど
まさにその通りだなぁ……。
もっとも、
誰かさんが見境なく
魔族を滅してるから
±ゼロかもだが。
誰かさんって
誰のことよ?
まぁ、スアラの体にも
限界があるから、
融合できる魂の数が
無限じゃないのが救いだ。
厄介なことには
変わりないですけどね。
その後もスアラは魂を融合させていった。
そして魔方陣が消えて融合が終わった時、
そこには魔界の歴史上で
最強かもしれない存在がそこに
立っていたのだった。
果たして僕たちは勝てるのだろうか?
次回へ続く!