水路を抜けた先では大量の兵士たちに
待ち伏せをされていた。
もはや逃げることは不可能だ。
一難去ってまた一難。
このピンチ、
どうすればいいんだろう……。
水路を抜けた先では大量の兵士たちに
待ち伏せをされていた。
もはや逃げることは不可能だ。
一難去ってまた一難。
このピンチ、
どうすればいいんだろう……。
なぁ、トーヤ。
さすがにこれは
ヤバイんじゃねーの?
そ、そうだね。
捕虜になるしか
ないのかなぁ。
愚か者が。
捕虜になどするものか。
敵には死あるのみだ。
は……はは……。
どうやら、本気みたいね。
魔族の神への
祈りは済んだか?
では――
指揮官らしき人物は片手を挙げ、
それを振り下ろして兵士たちに
僕たちへの攻撃命令を下そうとしていた。
もう抗いようがない。
…………。
でもその時だった。
エルムが何かのスペルを唱え、
僕たちは乗っていた舟ごと光に包まれる。
慌てて指揮官は手を振り下ろして
兵士たちが一斉に攻撃を仕掛けてくるけど、
僕たちのところには届かない。
そしてその光が収まると、
目の前には
副都の町の様子が広がっていた。
それがどこなのかは分からないけど、
今までいたお城の中じゃないことだけは
確かだ。
何が起こったんだろう?
待ってたよ、トーヤくん。
えっ? アレスくん!?
なんと僕のすぐ横には
満面の笑みを浮かべたアレスくんがいた。
ううん、アレスくんだけじゃない。
副都攻撃グループのうち、
ブラックさんとティアナさん以外の全員が
揃っている。
どういうことなの、
これっ?
僕がラーニングの能力を
使ったんですよ。
これもクレアさんの
作戦のうちです。
えっ?
僕がラーニングしたのは
転移集合魔法です。
目的の人物のところへ
転移して集合する魔法。
転移魔法のうち
上位に当たるものです。
でもなぜそれを
ラーニングしたの?
隠し通路が囮であり
本隊であると
見抜かれている可能性が
ありましたので。
そこでクレアさんたちが
本当の意味で囮になって
もし僕たちが
ピンチになったら
勇者さんたちと合流という
プランになったそうです。
主力と一緒にいる方が
一番安全だろ?
ここまで来たら
それが最善策だ。
そういうことだったのか。
先の先まで見越した作戦に
なっていたんだね。
そっか、確かにタックさんの言うように
本隊と一緒にいた方が安全かも。
圧倒的な強さを持った人たちが
何人もいるんだもんね。
そういうこと。
これからは一緒に
お城へ向かおう。
うんっ!
なんだか嬉しい。
とうとうアレスくんと一緒に
戦うことが出来るんだもん。
こんな時に不謹慎かもだけど!
その作戦な、
オイラが考えついたんだ!
さすがタックさん。
まぁな~☆
ずる賢さだけは
あるのよね~。
うるせー!
あはは、おふたりは
相変わらずですね。
ビセットさん、ミリー。
トーヤくんのことを
頼みます。
承知です。
お任せください!
アポロくん、ユリアさん。
おふたりとは
久しぶりの共闘ですね。
そうだな、勇者様。
よろしく頼むぜ。
よろしくね。
タック、
クレアさんたちとは
どういう
手はずになってるの?
あいつらのところには
ブラックとティアナを
向かわせている。
目指している場所は
同じだから、
そのうち合流できるさ。
いい加減なんだから……。
お前は黙ってろ!
まぁまぁ、
おふたりとも。
それじゃ、前進しよう。
目指すは貴族院だ。
おーっ!
こうして僕たちは思いがけず
アレスくんたちと合流した。
こんなに心強いことはない。
待っててね、カレン。すぐに助けるから!
次回へ続く!