ダイスの襲撃を切り抜けた僕たちは
副都へ向かって真っ直ぐと突き進んだ。

その途中に副都は戦艦からの砲撃に加え、
巨大化したブラックドラゴンによる
攻撃が始まっている。



吐き出す紅蓮の炎と輝く吹雪――。


複数のブレスと物理的な力によって
町は破壊されていく。

守備隊と思われる魔族や
使役されたアンデッド、
配下のモンスターなどが応戦しているけど
その勢いはなかなか止まらない。
 
 

クレア

フフ、ティアナも
派手にやってるわね。

トーヤ

えっ?
ティアナさんって
ドラゴンだったんですか?

クレア

暴れているのは
ブラックよ。
それを操っているのが
ティアナってわけ。

トーヤ

ですよね……。
びっくりしたぁ。

ユリア

確か彼女って、
ドラゴンマスター
なんですよね?

クレア

そうよ。
わずかに生き残った種族の
ひとりね。

エルム

聞いたことがあります。
ドラゴンマスターは
ドラゴンを操る力を持ち
その能力を最大限に
引き出すことが出来ると。

クレア

そういうこと。
しかもティアナは
副都の連中に遺恨があるし
ブラックは好戦的。
最高のコンビよね。

 
 
そういえば僕たちが副都に着いた時、
ティアナさんは拷問に遭っていて、
それを救い出したんだよね。

その後もティアナさん、
拷問に遭わせた人たちに対して恨み言を
口にしていることが何度もあったもんね。


それだけのことをされているから
副都の人たちに対して
反感を持っているのは
当たり前といえば当たり前なんだけど。

その恨みを爆発させているのかもなぁ。
 
 

トーヤ

それにしてもクレアさん、
楽しそうだなぁ。

アポロ

くわばらくわばら。
マジでおっそろしい。
敵じゃなくてよかったぜ。

ユリア

ホントね。

クロード

ティアナ様が
ブラック様と出会ったのも
運命なのかも
しれませんね。

 
 
世の中の出来事は前世の縁によって
導かれているという話もある。
僕たちがこうして出会ったのも
その縁によるものなのかも。

だとしたら、
そう導いてくれた前世の僕や
神様に感謝をしたい。

だってこんな素敵な仲間たちと
一緒にいられるんだから。



もちろん困難もたくさんあるけれど、
それを一緒に乗り越えていけるというのは
それはそれで素敵なことだと僕は思う。
 
 
 
 
 
 
 
 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

クレア

さて、そろそろ私たちも
別行動にしましょう。
その時が
来たみたいだから。

トーヤ

――あ、そうですね。

 
 
気が付くと僕たちは副都の
東門と中央大門の分岐点へ
辿り着いていた。



僕たちの向かう
隠し水路があるのは東門の方。

一方、副都攻撃グループは
中央大門から
突入することになっているから
そちらと合流するクレアさんたちとは
方向が異なることになる。
 
 

クレア

隠し水路の位置は
ユリアに教えてあるから。
ユリア、
みんなを案内してあげて。

ユリア

お任せください!

クレア

それと万が一の時は
エルム、お願いね。

エルム

はいっ!

 
 
そっか、エルムはラーニングの能力で
新たにクレアさんから攻撃魔法を
コピーしたんだっけ。

以前にライカさんからコピーした
光系魔法は
戦艦で僕の砲撃をコピーしたことで
上書きされて消えてしまったからね。


エルムがどんな魔法を
新たにコピーしたのか聞いていないけど、
クレアさんからコピーしたのなら
きっと強力な魔法に違いない。
 
 

トーヤ

クロード、ライカさん。
また絶対に
生きて再会しようね。

クロード

お任せを!

ライカ

もちろんです!

ライカ

トーヤさんもどうか
ご無事で……。

トーヤ

うんっ!

 
 
その後、
僕たちは円陣を組んで掛け声をあげ、
志気を高めた。

そしてクレアさんとクロード、
ライカさんは
中央大門へ向かって駆けていく。



僕とアポロ、ユリアさん、エルムは
それを横目に見ながら東門へ向かって
走り出したのだった。
 
 

 
 
 
次回へ続く!
 

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