僕たちは追い詰められていた。
この状況を打開するには
どうすればいいのだろうか?
最悪の場合はウィル船長を倒して、
この船とともに僕たちも
海に沈むしかないだろうな……。
ライカさんやユリアさんが
辱めに遭うのだけは
絶対に避けないといけないから。
事ここに至ったら僕が決断するまでもなく
アポロがユリアさんを守るために
そうするだろうけど――。
僕たちは追い詰められていた。
この状況を打開するには
どうすればいいのだろうか?
最悪の場合はウィル船長を倒して、
この船とともに僕たちも
海に沈むしかないだろうな……。
ライカさんやユリアさんが
辱めに遭うのだけは
絶対に避けないといけないから。
事ここに至ったら僕が決断するまでもなく
アポロがユリアさんを守るために
そうするだろうけど――。
はーっはっは!
お前らの負け!
俺を信用した時点で未来は
途切れていたんだよ!
くっ……。
――悔しい。
僕はウィル船長の危険性に
気付いて警戒していたのに、
こんな状況になるまで
何もできなかったなんて。
警戒だって表面的なだけで、
根本的な解決にはなっていなかったし。
僕のせいでみんなが……。
いやぁ、
これは困りましたねぇ。
えぇ、そうね。
っ?
こんな状況なのにクロードとクレアさんは
ケタケタと笑っていた。
焦りというか、
追い詰められている感が全くない。
――そうだ、どこか違和感がある。
クロードやクレアさんなら
こうした事態をもっと早く
察していたとしてもおかしくない。
それなのに放置しておくなんて……。
はーっはっは!
今さら後悔しても
遅いんだよ、バーカ!
いえ、後悔なんて
してませんよ。
航海なら
している最中ですが。
ク、クロード……。
こんな時にダジャレを
言ってる場合じゃないよ。
困っているというのは
あまりにも計画通りに
事が運んでいるから
という意味ですよ。
はぁっ?
もう少し
想定外のことが起きて
楽しめると思っていたのに
いやはや拍子抜けです。
クロード、
そろそろいいわよね?
殺っちゃいますか♪
えっ? えぇっ?
ウィル船長は戸惑っていた。
もちろん、クロードやクレアさん以外の
全員が当惑したような顔をしている。
そして次の瞬間――!
はぁあああぁっ!
やぁあああっ!
ぐぁああ……。
がふっ!
それはあっという間の出来事――。
クロードとクレアさんは剣を抜くと
目にも留まらない速さで船員たちを
躊躇なく斬り殺していった。
僕たちはただ呆然と佇んで
事態を見守るだけ。
最後にウィル船長だけが残り、
彼は致命傷にならない程度の
斬撃を受けた。
直後、ロープで身動きがとれないように
縛り上げられてしまう。
苦しそうで可哀想だけど仕方ないよね。
ぐ……が……。
ど、どういうつもり……
だ……?
こんなことをされて
俺が言うことを聞くとでも
思っているのか?
いいえ。
それにあなたをこのまま
生かしておく気なんて
ないわよ?
ほんのちょっぴり
生きている時間が
伸びただけです。
え……っ?
絶望を与えてから殺すの。
そのために
生かしているに過ぎない。
私たちはあなたが
裏切ることなど
織り込み済みです。
っ!?
先ほどあなたは
あなたを信じた時点で
未来は途切れていたと
おっしゃいましたよね?
でも私やクレア様は
そもそもあなたなんか
最初から信じて
いなかったんですよ。
なっ!?
むしろそれを利用して
副都側の戦力を
副都から引き離した。
それがあの艦隊です。
…………。
そしてこの船には
操船の出来る方や
信頼できる船員の皆様を
乗せています。
っ!?
まさか臨時雇いの
船員たちのことかっ!?
ご名答! ランダムに
集められたように
見せかけて
実は全員が私の手配した
人たちだったんですよ。
ま、そういうことだ。
その時、艦橋の外から声がして、
直後にドアが開いて誰かが入ってくる。
こっ、この人は……っ!?
次回へ続く!