僕たちはトイトイ砦に攻め込んだ。
当然、
途中でモンスターたちに遭遇したけど、
数は少ないしそんなに強くもない。

順調に砦に辿り着き、
地下の通路を進んでいる。
 
 

ロンメル

やはり打って出て
正解だったな。
守っているヤツは
ザコだらけだ。

トーヤ

頼りになるよ、ロンメル。

トーヤ

そういえば、
手下のアンデッドたちは
無事なの?

ロンメル

そこそこダメージを
食らっている。
さすがに万全な状態で
動けるヤツは少ないな。

ロンメル

俺のように
真祖のヴァンパイアなら
回復も早いのだが。

……じゃ、その回復が
出来ないくらい
完全に滅してあげる。

 
 
通路の前の方から声がした。
そして徐々に足音が近付いてきて
僕たちの前に姿を現す。

魔族とは雰囲気が違うみたいだけど……。
 
 

エレナ

私と出会ったからには
絶対に逃がさないから。

ロンメル

貴様っ!?
ヴァンパイアハンターか!

エレナ

それを即座に見抜くとは
さすが真祖の
ヴァンパイアね。

エレナ

私はエレナ。
ヴァンパイアハンターよ。

ロンメル

ちっ……。

 
 
ロンメルは苦虫を噛み潰したような
顔をした。

かなり焦っているような感じ。
ここまで余裕のない姿を見るのは
初めてかもしれない。


ヴァンパイアハンターということは、
ロンメルにとっては
天敵みたいなものなんだろうな。

なんだか胸騒ぎがして収まらない……。
 
 

ロンメル

お前たちは先に行け。
この場は俺が食い止める。

トーヤ

でも……。

エレナ

そうしてくれるなら
私はほかの人たちに
手を出さないわ。

トーヤ

えっ?

エレナ

なぜなら私の目的は
ヴァンパイアを
退治することだから。
魔族の世界に興味はない。

トーヤ

だったらなぜ
あなたは魔族の戦いに
荷担しているのです?

エレナ

荷担している
つもりはないわ。
私はただ、
ここにいればヴァンパイアに
出会えると聞いて
待ち構えていたに過ぎない。

トーヤ

誰に聞いたのです?

エレナ

クロウとかいう魔族よ。
この地下の最深部に
いるんじゃない?

トーヤ

クロウっ!?

 
 
まさかまたその名を聞くことになるとは
なんて因縁なんだ。
今回も僕たちの前に立ち塞がったのが
彼だなんて。

彼が相手となると厄介だ。
かなりの実力だし。


――あ、でも今回は実力者の
クレアさんがいるからなんとかなるかな?
 
 

トーヤ

それを喋ってしまって
良いのですか?

エレナ

平界に住む私としては
魔族同士が
つぶし合ってくれる方が
好都合だからね。

トーヤ

なるほど……。

ロンメル

では、
そろそろ戦うとしよう。
俺も久々に最初から
本気を出さねばな。

ロンメル

相手がダンピールでは
わずかな隙でも
命取りになる。

エレナ

っ!? へぇ、
そこまで気付いてたんだ。

トーヤ

ダンピール?

クロード

ヴァンパイアと人間の
ハーフです。

クロード

ダンピールは
ヴァンパイアに対抗する力を
生まれつき持っている。

クレア

ロンメルにとって
これほど厄介な相手は
いないわ。

トーヤ

ロンメル……。

ロンメル

安心しろ。
俺は真祖のヴァンパイア。
そこらのヴァンパイアとは
格が違う。

ロンメル

さぁ、トーヤ。
先へ進むのだ!

 
 
ロンメルはエレナさんに襲いかかった。

それに対してエレナさんは
ニヤリと笑いながら
腰に差していた剣を手にとる。


うあ……素材は銀だ。
あんなので斬りつけられたら
僕たち魔族はたまったもんじゃない。

しかも剣には何かの魔法が
込められている感じがする。
 
 

トーヤ

ロンメル、負けないで!

 
 
僕たちは戦いを始めたロンメルを横目に、
通路の奥へと進んだ。
 
 

 
 
 
次回へ続く!
 

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