仁との対決は、

敬介の落撃によって終わりを迎えた。

…………。

くっ…………。

着地した敬介の目線は仁へと向き、

そのまま歩み寄っていく。

僅かな差で負けを認めざるを得ない状況に、

仁の額からは汗が流れる。

俺の技が力で負けただと?

仁は自身の光の斧が消えたのを確認すると、

ちょうど目の前に来た敬介と向かい合った。

…………。

認めたくねぇが、てめぇの勝ちだ。
殺したきゃ殺せ。

…………。

覚悟を決めた仁の言葉に、

敬介は静かに笑みを浮かべた。

そして、右手を前へと伸ばす。

どういうつもりだ!!

どういうって、握手に決まってんだろ。

握手だと?
ふざけるな!!

ふざけてねぇって。
勝負は俺の勝ちだけど、それも運が良かっただけさ。
正直、最後の技が通用しなきゃお前の力には勝てなかった。

こいつは何を考えてる……。

突然握手を求めてきた敬介の行動は理解できない。

仁は、何か裏があるのではと考えを巡らせ始める。

俺がこの先も戦っていくためには、今の戦いは必要なことだった気がする。

だってさ、
お前みたいに強いやつらが沢山いて、力を合わせる事ができれば、こんなにも心強いことはないだろ?

ふっ!
そんなことが今の協会にできるわけないだろ。

だから握手なんだって。
協会がそういう考えを持てないなら、俺達がやるんだ。

俺は力を合わせる気はない。

おい!
おまえどこへ?

お前達の邪魔はしない。
それだけだ。

敬介にそう告げた仁は森の中へと消えていった。

邪魔しないってことは、天野さんは大丈夫か。

あれ?
仁さんは……。

茂みの奥から修太が出てきて、

仁を探して辺りを見回す。

あいつなら、向こう行ったぞ。

仁さんひどいなぁ。
まぁ、他のシャドーでも探すか。

修太は敬介の指差す方向を見ると、小さく呟いた。

じゃあ、この後も気をつけてください。
たぶん、他にも先輩たちを狙ってるヤツらも多いんで。

ああ。

敬介と仁が戦った場所からはかなり距離がある林道にて、睨み合う2つの人影。

やっぱりお前だったか。

仕方ねぇだろ。
お前のお友達を排除しなきゃなんねぇからな。

そうか。
昔から協会と繋がってるのは知ってたが、お前に頼まなきゃいけない程に人手不足なのか。

…………。

大宮の言葉に、別の名家出身である葉栗陽平はすぐさま不機嫌になった。

第3章--認証試練編--(85話)-第三試練⑥-

facebook twitter
pagetop