第三試練が開始されてから30分が過ぎ、

参加者同士での戦闘も解禁された。

敬介は仁との戦闘中に、

カラウが敵であるシャドーにも、

光術を教えようとしていたという話を聞かされる。

そんなバカな話があるか!
シャドーは敵だぞ。

そう、敵だ。
だからカラウの弟子で、その上に正統でもないお前らも俺達の敵なんだよ。

くそっ。

いったいどういうことだよ。
そもそもこんな野郎の話を信用しちゃいないが、なぜか100%おっさんを信じることもできねぇ……。

信じ難い話ではあるのだが、

カラウの素性をよく知らないこともあり、

強気で言葉を返すこともできない。

あっけないが、そろそろ終わりにするか。
第三試練が終わる前に、もう一人も倒さないといけないからな。

もう一人……?
まさか天野さんも狙う気か。

お前も含めて制限時間内に倒す。
それで、リタイアしたお前らは光力を奪われるってわけだ。

そんなことはさせない。
俺がここでお前を倒す。

おもしれぇじゃねぇか。
お前を再起不能にして、一生もんのトラウマにしてやるよ。

光の斧を肩に担いだ仁は、

少しだけ口角を上げると、

そのまま敬介に向かって走り出した。

来いっ

おらっ!!

仁は、

攻撃態勢に入った敬介に警戒等はせずに、

右肩に乗せた斧を下ろし、

さらに速度を上げて走る。

あの斧、普通に受けたらマズい。

…………。

右手を斧の柄の短い所までスライドさせると、

力強く握り締めながら胸まで引き寄せる。

斧走(ふそう)!!

仁は声を荒げ、

敬介との距離はもう5メートルとなった。

全てを1点に集中させる。

迎え撃つ気か。

仁は斧を前へと突き出した。

ぐっぅぅう……。

斧と敬介の距離が1メートル程となった瞬間、

大きな衝撃が仁を襲った。

くっ……。

仁は目を開けて前方を確認するが、

衝撃でできた穴があるだけで敬介の姿はそこにない。

何かを察した仁は、

思わず上空を見上げる。

上かっ!!

正解。

仁の攻撃をギリギリまで引き付け、

右足の裏に集めた光力を爆発させ、

空高く飛び跳ねたのだ。

普通にぶつかっても、アイツには勝てないからな。

このまま終わりにしようぜ。

敬介は仁を目掛けて真っ直ぐに落下していく。

それで勝てると思ってんのか?

どうかな。

落撃(らくげき)

俺の勝ちだな。

俺の斧が……。

落下速度を力に加えた落撃が斧を直撃し、

仁の手元から離れた斧は地面に突き刺さる。

へっ。

くっ。

そして、

その光の斧は小さな粒となり消えた。

第3章--認証試練編--(84話)-第三試練⑤-

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