ついに魔動城は
ウエストサイドの町に到着した。

町のあちこちに傷付いた兵士さんや
傭兵さんたちの姿が見える。
早く手当をしてあげないと……。
 
 

トーヤ

ライカさん、
みんなの治療へ
行きましょう。

ライカ

はいっ。

トーヤ

エルムも
手伝ってもらえる?

エルム

もちろんです。

クロード

私もお手伝いします。

ロンメル

俺は周囲の警戒を
することにしよう。

アポロ

じゃ、俺とユリアは
情報を集めてくる。

ユリア

みんな、
あとで合流しましょう。

マイル

私は魔動城を
トイトイ砦側へ移動させる。
その後は砦から脱出した
守備隊長殿と
今後の方針について
話し合うつもりだ。

マイル

トーヤくんが皆の治療に
当たるなら、
クレア殿が代わりに
同席してくれ。

クレア

分かったわ。

 
 
 
 
 
 
 
 
 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
僕たちはそれぞれ行動を開始した。

そしてその日の夜になると
再び艦橋に集まり、
情報交換をするととともに
今後のことについて話し合いをする。
 
 

マイル

しかし厄介だな。
相手の戦力は
アンデッドが中心。
いくらでも作り出せる。

トーヤ

ロンメル、
キミもアンデッドを
たくさん操れるよね?

ロンメル

その通りだ。だが、
俺の配下にいるのは
中位から高位の連中だ。
対して敵は低位が中心。
役不足に
なるのではないか?

ライカ

いくら質が高くても
数で押されたら
太刀打ちできないことが
ありますからね。

エルム

でも緊急時には
やむを得ないと思うけど。

ロンメル

お前に言われんでも
分かっている。
トーヤの指示があれば
動かすのも構わん。

ロンメル

ただ、そのタイミングの
見極めはしっかりと
してもらわねば。

クロード

総攻撃で一気に
片を付ける時まで
動かさない方がよいと
私は思います。

トーヤ

うん、クロードの
言う通りだね。

 
 
出し惜しみは出来ないけど、
使えるカードはなるべく残しておきたい。

僕の判断ひとつで
勝敗が左右されることだってあるから
それだけは意識しておかないとね。
 
 

エルム

問題は敵のリーダーが
姿を現していないこと。
だからピンポイントで
攻めることが出来ないです。

アポロ

つまり急所を突くという
戦略が使えないわけか。

マイル

そうなるとトイトイ砦を
陥落させる意識で
攻めないといけないな。

ロンメル

だが、そのための情報が
少なすぎる。
敵の戦力も配置も
何もかもがな。

クレア

諜報活動なら私が
やりましょう。

クレア

ただ、その結果、
相手の戦力がこちらを
大きく超えていた場合に
どう動くかが問題ね。

アポロ

この際だからよ、
魔法とか大砲とかで砦ごと
拭き飛ばしちまおうぜ。

ユリア

バカねぇ。
王都を守る拠点が
減っちゃうでしょう。
破壊ではなく奪還を
考えないと。

アポロ

うぐ……。

マイル

……いや、場合によっては
それも選択肢に
入れておかなければな。

ライカ

えっ?

マイル

砦が壊れたなら
また築けばいい。
こちらの戦力が
疲弊するよりはマシだ。

ライカ

マイルさん、大胆ですね。

 
 
僕もマイルさんにしては
思い切った考え方だと思う。

でも商人って時にはこうした
大胆な戦略や決断をすることも
あるのかもしれない。


慎重な人ほど
ポイントでは意外な行動をすることが
あるからなぁ。
セーラさんもそうだったもんね。
 
 
 

 
 
 
突然、轟音が鳴り響いて
夜空が赤く染まった。
窓から外を見てみると、
町の向こうに見える森が燃えている。


あれはトイトイ砦の方向。
つまりもしかしたら敵が攻めてきたのかも。

そう感じた直後、
町の警備に当たっていた兵士さんが
艦橋へ駆け込んでくる。
 
 

船員

大変ですっ!
敵が総攻撃を
仕掛けてきました!

船員

アンデッドを中心に、
ざっと見積もっただけでも
その数は約1万!

マイル

1万だとっ!?
今までそんな大戦力で
攻めてきたことは
なかったぞっ?

 
 
さすがにマイルさんの声も
驚きで裏返っていた。

でもそれは当然だ。
それが例え弱小モンスターだったとしても
1万の大群が相手となると
守りきるのは大変だもん。
 
 

ロンメル

こちらが動く前に
先手を打ってきたか。
なかなか敵もやりおる。

トーヤ

感心してる
場合じゃないよ。

ロンメル

だが、逆に考えれば
これが敵の全戦力、
あるいは即座に動かせる
限界とも考えられる。

ロンメル

敵将を見つけて討つ
好機かもしれん。

マイル

そうだな。
トーヤくんたちは
アンデッドを操っている
元凶を見つけて
殲滅してくれ。

マイル

我々はそれまで
迎え撃つことにする。

トーヤ

分かりました。

 
 
僕の返事を聞くと、
マイルさんは即座に乗組員の皆さんに
指示を出す。
 
 

マイル

全乗組員に戦闘に入るよう
伝達を出せ。
大砲の使用も認める。
お前たちはその後、
戦闘に加わって迎え撃て。

船員

了解!

 
 
艦橋にいたマイルさんの部下たちは
慌ただしく出ていった。

僕たちも行動を開始しないと。
 
 

クレア

トーヤ、
まずは私が敵の様子を
掴んでくるわ。

トーヤ

お願いします。
――ロンメル、
アンデッドを総動員して
魔動城の守備に当たって。

 
 
その指示を聞いたロンメルは
僕のことをじっと見つめる。

彼は僕の真意を推し量っているようだ。
 
 

ロンメル

……ここでそのカードを
切ってしまって
本当に良いのだな?

トーヤ

そうじゃないと
傭兵さんたちだけじゃ
守りきれないよ。

ロンメル

万が一の時には
逃げるという手も
あるのだぞ?
その場合を考え、
温存しておくという
選択も出来るが?

トーヤ

この場は強気に攻めよう。
敵はこちらの本隊である
アレスくんたちへ向ける
戦力を削ってまで
ここを攻めないと思う。

トーヤ

つまり戦況が悪くなれば
相手は退く可能性が
高いと思う。

ロンメル

だから強気に攻撃しても
良いだろうということか。
攻撃は最大の防御。
承知した。

 
 
どうやらロンメルは納得してくれたようだ。
すぐにその場から飛び出していく。

続けて僕はみんなに指示を出す。
 
 

トーヤ

クロード、ユリアさん。
前線に出て、
魔動城に迫る敵を
追い払ってください。

クロード

分かりました。

ユリア

任せておいて。
それなら今回は使役できる
最大限の数の
ゴーレムを使って戦うわ。

トーヤ

ライカさんは
ふたりのサポートを
お願いします。

ライカ

それは構いませんが、
トーヤさんは?

トーヤ

僕はこの艦橋から
フォーチュンで敵を
狙い撃ちします。

ライカ

分かりました。
どうかご武運を!

トーヤ

アポロとエルムは
僕を守って。

アポロ

承知だ!

エルム

はいっ!

 
 
こうして僕たちは戦闘状態に入った。

なんとしてもこの場を乗り越えてみせる。
ううん、
みんなで力を合わせればきっと大丈夫だ!
 
 

 
 
 
次回へ続く!
 

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