宿屋でたっぷりと休息をとり、
翌日の朝になって僕たちは町外れにある
寂れた教会の跡地へやってきていた。
クレアさんの話だと、
ここで待ち合わせをしているらしい。
宿屋でたっぷりと休息をとり、
翌日の朝になって僕たちは町外れにある
寂れた教会の跡地へやってきていた。
クレアさんの話だと、
ここで待ち合わせをしているらしい。
ウェイブがモンスターの
襲撃に対して
持ちこたえていたのは
彼らの力によるところが
大きいのよ。
メンバー個人の力が
強いということも
あるけど、
装備が充実しているという
面も大きいわね。
装備ですか?
例えば、
セーラさんみたいな
名工が作った武具とか?
見れば分かるわ。
もうすぐ
到着するはずだから。
っ!?
この轟音はなんだ?
やがて遠くから地鳴りのような
轟音を響かせて遠くからこちらへ
巨大な城が近付いてくる。
それは動くお城。
いや、あれはお城というよりは
要塞に近いかもしれない。
これはもしかして
陸走船ですかっ!?
でも陸走船にしては
物騒ですよね?
装甲は厚いし砲台だって
あんなにたくさん……。
まるで動く要塞ですね。
えぇ、魔動城と
呼ばれているわ。
ミューリエが
製造と運用を許可した
唯一無二の存在よ。
設計を担当したのが
セーラ。あの子、
1万年にひとりの天才ね。
セーラさんが!?
やっぱりセーラさんは
すごいや!
僕たちと別れてからセーラさんは
いくつものとんでもないことを
やっていたんだなぁ。
一緒に旅をしていたかったけど、
彼女の能力を活かすためには
王都へ戻って正解だったのかもね。
でもこの要塞、
使い方を間違えば
大変なことに
なりますよね?
つまり動かしているのは
女王様が信用している相手
ということなんですよね?
えぇ、この計画を持ちかけ
資金を全額提供した
スポンサーが運用を
担当しているのよ。
それって……。
僕には思い当たる人物がひとりだけいる。
そしてその答えを口に出す前に、
魔動城の窓から見知った顔がふたつ現われ、
こちらへ向かって叫んできた。
諸君、久しぶりだね。
マイルさん!?
トーヤぁっ!
あ……あぁ……。
クロード!
僕の予想通り、
スポンサーになったのはマイルさんだった。
そしてその秘書としてクロードが
彼の横にいる。
クロードは満面の笑みを浮かべ、
僕に向かって大きく手を振っている。
トーヤ! 今すぐ
そちらへ行きますぅ!
誰だ、アイツ?
トーヤに対して
馴れ馴れしい。
副都まで私たちと一緒に
旅をしていた仲間ですよ。
兄ちゃんの親友なんです。
なんだとっ?
うぬぬ、トーヤの親友は
俺なのに……。
その後、魔動城は動きを停止し、
マイルさんとクロードが降りて
こちらへやってくる。
そして僕の目の前にやってきたクロードと
握手をして再会を喜んだ。
どうしてクロードが?
はい。マイルが
副都の不穏な動きを
いち早く察知しまして、
サンドパークの守りを
事前に固めたのです。
おかげで
モンスターの猛攻も
退けることが出来ました。
そうだったんだ……。
さすが情報網を
各地に張っているだけは
ありますね。
そのあと王都へ行って
女王様に魔動城の計画を
提案して実行した
というわけです。
王都が守り抜けたのも
魔動城の力が
あったからなのよ。
いえ、設計から製造まで
短期間でやり遂げた
セーラ様とガイネ様が
すごいのですよ。
じゃ、クロードが
呼び戻されたのは
マイルさんの手助けをする
ためだったんだね。
申し訳ありませんでした。
私自身、悩みましたが
それがベストな選択だと
判断しましたので。
分かってる。
結果的にそれは
正解だったわけだし。
そうおっしゃって
いただけると
気が楽になります。
トーヤ、
これからはまた一緒に
旅を続けましょう。
マイルの許可は
取ってあります。
助かるよ!
僕たちは強く握手を交わしていた。
でも不意に間にアポロが入ってきて、
握っていた手が離れてしまう。
表情を見ると、
ちょっとアポロは不機嫌そう。
おい、クロード。
あんま調子に乗んなよ?
何のことです?
カマトトぶりやがって。
なんかアポロとクロードの間には
火花が散っているみたい。
どうしたんだろうなぁ?
ふたりには仲良くしてほしいのに……。
では、諸君!
ウエストサイドへ行って
そこを拠点に
トイトイ砦を奪還しよう。
なぁに、
このメンバーなら
造作もないことだ。
そうだろう?
そうだといいんだけど……。
さあ、皆さんも
魔動城へ乗ってください。
僕たちはクロードの案内で
魔動城の中へ入った。
見た感じは本当に普通の砦と変わらない。
陸走船の居住スペースが
砦になっているというイメージかな。
内部には砲撃手さんや兵士さんたちも
たくさん乗っている。
これならマイルさんの言うように
トイトイ砦やウエストサイドの奪還も
不可能な話じゃないかも!
次回へ続く!