吉良が口を開く。

吉良助教

あの、地下書庫がある理由が悪魔を呼び出すために作ったのは父親として、飛び出したのは野沢心ですよね

六十部武蔵

はい。鮫野木くんから聞いた話だと中学校で悪魔を呼び出したと聞いてますが、調べてみたら、真実は違うようです

 武蔵はカバンからカルテを出して、そのカルテの一部を指して話す。

六十部武蔵

これは先日、東京に行ったときに野沢心を担当している先生から、コピーしてもらった野沢心のカルテです

六十部武蔵

そしてここに、野沢心が倒れていた場所が書かれています

鬼灯先生

学生の通報にて自宅の地下室にて昏睡状態にて発見


 鬼灯は指された文章を読み上げた。

鬼灯先生

おい、学生の名前が六十部武蔵と書いてあるが

六十部武蔵

昔、野沢心の母親と私の母が仲が良くて近所付き合いの中でした。訳があって私が勉強を教えていたんです

鬼灯先生

知り合いだったのか

六十部武蔵

はい。もう一人の妹みたいでした。紗良も良い姉として尊敬してました。けれど、父親が死に母親も後を追って死に残された野沢心は……心さんはおかしかった

鬼灯先生

母親は死んでいたのか

 鬼灯の質問に武蔵は答える。

六十部武蔵

はい、カルタに書いていました。正確には父親の手紙が送られた次の日に首を吊ったそうです

六十部武蔵

そして心さんと音信不通になって五日後、気になって家に行ってみたら地下に繋がる階段を見つけ、地下室で倒れていた心さんを見つけたわけです

鬼灯先生

ほう、それで追放したと

 武蔵は頷いて返事をした。

吉良助教

鮫野木くんが話した内容と違いますね。中学校と自宅じゃあ

六十部武蔵

心さんが悪魔を呼ぼうとした気持ちはなんとなくわかります。けれど、手紙には自分の意思で書かれた物と第三者に書かされたような物がありました

六十部武蔵

第三者、そう名も無き者が父親を操り、地下室を作らせ、手紙を送らせ、結果、今の状況を作り出した。そうでしょう

 武蔵は協力者に問い投げかけた。協力者は笑って答えた。

協力者

流石、頭が切れる。その通りで間違いないよ

協力者

私達が関わってる。中心に名も無き者がいるのさ

六十部武蔵

そうですか

武蔵は協力者に向かって声をかける。

六十部武蔵

さて、私はここに答え合わせをしに来たのではありません。そろそろ本題といきませんか?

協力者

そいつは良い考えだ。先生

協力者

だが、この先は私の作戦に乗ることになる。参加する気はあるかい?

六十部武蔵

我々が作戦に参加しないといけないんでしょう。私は参加しますよ

鬼灯先生

その為に呼んだんだろ。今さら変えれんさ

吉良助教

まぁ、研究のデータになるんで参加させていただきます

ミミタン

私も行くよ。雪音ちゃん助けたい


 全員の意見を聞いた協力者は話し出した。

協力者

全員来るんだね。まぁ、止めやしないさ

協力者

私達に出来る作戦は一つ、時間稼ぎさ

鬼灯先生

時間稼ぎだと

協力者

そう、名も無き者を倒すのは私の仕事じゃない。あくまで時間を稼ぐそれだけでいい

鬼灯先生

具体的には何をするんだ

協力者

そいつは、魔術だよ。魔術

協力者

魔術で時間を稼ぐそれだけさ

 協力者は質問の答えを用意しているかのように真面目に答えた。
 短い時間で突拍子もない事を聞きすぎて信じられない。流石に魔術は信じられない。

鬼灯先生

協力すると言ったが協力するには、ある程度の信用が必要なんだが

ミミタン

魔術て魔法? 鬼灯ちゃん

鬼灯先生

似たようなもんだ

協力者

どうした、魔術は信じられないかい。それじゃ、これからの起こることについて行けないよ。お二人さん

協力者

それに言っただろ。常識は捨てろ、邪魔だ

鬼灯先生

邪魔ねぇ


 鬼灯は腕を組んで思考する。その合間に吉良が話す。

吉良助教

あの、僕達は何をするんですか? 僕らでも魔術が使えるのですか?

協力者

魔術を使うのは私だ。君達は手助けをしてくれ、ありとあらゆる手で名も無き者は抵抗してくる。そこで君達は私を守ってくれ

協力者

私は魔法陣の中である魔法を名も無き者にかける。そして、何があっても、私を魔法陣の外から出さないでくれ

協力者

このとおりだ


 協力者は頭を低く下げた。

協力者

私はどうしても、何があっても、名も無き者をこの世から消さないといけないんだ

鬼灯先生

たく、頭を上げろ。全部信じれば良いんだろ。守ればいいんだろ。私もさっさと終わらせて生徒の顔を見たいしな

鬼灯先生

それに、お前が何でもかんでも知ってるのは別に訳があるんだ。それが名も無き者を倒したいのが原因なんだろう


 協力者は顔を上げて鬼灯の目を見て話す。

協力者

まぁね、私の目的は名も無き者さえどうにかなれば良いのさ

鬼灯先生

守れば良いんだな。お前を


 鬼灯も協力者の目見て話した。

協力者

ただ、タイムリミットがある

協力者

明日の十三時二十二分、それまでにやれることをやるだけさ


 協力者の目の奥に抱く信念が見えたような気がした。ならば信じてみよう。その目の奥にある信念を信じて。

エピソード49.5 集団睡眠救出作戦(2)

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