お師匠様が落ち着いてから
僕たちは話を再開させる。
まず知りたいのは僕がどうやって
不老不死の薬に対抗できるかということだ。
僕の攻撃だけは何らかの理由で
ダメージを与えられるという
ことなのかな?
お師匠様が落ち着いてから
僕たちは話を再開させる。
まず知りたいのは僕がどうやって
不老不死の薬に対抗できるかということだ。
僕の攻撃だけは何らかの理由で
ダメージを与えられるという
ことなのかな?
不老不死の薬は
細胞を活性化させ、
さらに老化の因子の働きを
阻害します。
それで不老不死の作用を
得ているわけです。
なるほどな。
それを中和する
効果を持つのが
トーヤの血液です。
僕の血液っ!?
正確にはトーヤの細胞なら
なんでも構いません。
――が、効果が大きくて
扱いやすいのが血液です。
それを一滴でも相手の体に
注ぎ込めれば、
こちらの勝ちです。
では、あらかじめ血液を
採取しておいて、
それをみんなで
使うというのは?
成分の劣化が早いので
効果が発揮されるのは
肉体を離れてから
30分程度でしょう。
じゃ、トーヤくん自身が
その場に居合わせないと
ダメですね。
うむ。だからこそ
トーヤたちが本隊となる。
おそらく敵は
アレス様たちが本隊だと
信じて疑わんだろうな。
囮としてバッチリだね。
なんだか責任重大だな……。
グループリーダーってだけでも
プレッシャーだったのに、
僕自身が世界の運命を左右するほどの
切り札だったなんて。
ん? ちょっと待てよ?
もしかして僕の特殊能力は――
そうか、僕に状態異常の
無効化能力があるのは
そういうことだったんだ!
やはり旅の中で
それに気付いていましたか。
えぇ、副次的な効果ですね。
そうだったのっ!?
すごいや、トーヤくん!
この力に助けられたことが
何度もあったよ……。
きっと僕に成長の能力があるのも
純粋な魔族じゃないからだろうな。
今となれば色々と納得することがある。
トーヤ、お前には
苦労ばかりかけて
申し訳がない。
いえ、とんでもないです。
僕はみんなのお役に立てれば
本望です。
ところで女王様は
僕がお師匠様の弟子で、
こういう存在だと承知して
お城に雇ってくれて
いたのですか?
いや、偶然だ。
あとで知って驚いたがな。
これは必然だよ、きっと。
僕たちは出会うべくして
出会ったんだ。
神様が僕たちを
導いてくれたんだよ。
……ふふ、かもな。
うんっ!
僕もそう思います。
真相がどうであれ
ボクはアレス様や
みんなと出会えて
良かったと思っている。
うん、それはクリスさんだけじゃなくて
僕も同じ気持ちだ。
アレスくんたちだってそうだと思う。
では、そろそろ
実証実験をしましょうか。
実証実験ですか?
トーヤの血液が
本当に効果があるのか
試すのですよ。
――私の体で。
えぇっ!?
理論的には
効果があるはずです。
でも実際に試しては
いないのですよ。
それを確かめる必要が
あります。
敵と対峙してから
『効果がありません』じゃ
困りますもんね。
はい。そういうことです。
分かりま――あっ!
ダメです、それは!
お師匠様に同意しようとした時、
僕は大切なことを思い出した。
――それは僕の血液に関すること。
“彼”との約束があるから
勝手な判断で使うわけにはいかない。
まさかこんなことになるなんて
困ったな……。
次回へ続く!