わだかまりが解けるように二人は笑っていた。
過去の出来事で変わったことはある。その事を再確認できたのは皮肉にも、この世界に呼び込まれた、おかげか。
小斗は笑うのを堪えると鮫野木に質問をした。
わだかまりが解けるように二人は笑っていた。
過去の出来事で変わったことはある。その事を再確認できたのは皮肉にも、この世界に呼び込まれた、おかげか。
小斗は笑うのを堪えると鮫野木に質問をした。
あのさ、淳くん
なんだい?
小斗はしっかりと顔を整える。
淳くんが野沢ちゃんを助けようとしているのは、やっぱりあの日の自分に似ているから
そうだな、なんとなく分かるんだよ。あいつの気持ちが
だからかな……
元の世界に帰って、余計に助けたいと思った
そうなんだ
小斗は、ため息を吐いた。
じゃあ、私も手伝わないといけないな
助かるよ。一人じゃ無理そうだったし
最悪、一人でどうかしようとしてたの
まぁまぁ
一息、落ち着いたところで扉を開けて様子を確認しに誰かリビングに入ってきた。
終わった?
凪佐、凪佐じゃないか。久し振り
心配そうにこちらを見つめるのは凪佐新吾だった。
うん、久し振りだね。良かった仲直りしたんだね
仲直り? おいおい凪佐、俺達は喧嘩なんてしてないぜ。なぁ、ユキちゃん
淳くん、あ・ま・り、調子に乗らないで
その笑顔は何だか怖かった。
えっ、ユキちゃん!
この様子を観た凪佐は笑った。
アハハ、お帰り
おう、ただいま
凪佐は自分が入ってきた扉を開けに行った。扉を開けると藤松と久賀が聞き耳を立てていた。その後ろに六十部がひっそり立っていた。
凪佐は三人に話しかける。
そんなことしてないで入ったら
もー、ナギサちゃん。大胆なんだから
ほっといても、入ったさ。お前が先に行くから、出るタイミングが狂ったんだ
言い訳をしながら藤松はリビングに入っていく、久賀と六十部もゾロゾロと入ってきた。六人もリビングに集まると多少狭く感じる。
六十部は鮫野木と目を合わせると話しかけた。
久し振りね、鮫野木くん。遅かったわね
入院やら学生生活で忙しかったからな。おかげで一週間掛かったよ
六十部は本当にシャワーを浴びていたらしく、髪が濡れて乾ききっていなかった。
入院したの、大丈夫、何処か痛くない?
六十部とは違い凪佐は入院したことを心配してくれているようだ。凪佐のそういう所が俺は好きだぜ。
何、検査入院さ。それと、六十部の兄さんに会ったぜ。
六十部さんのお兄さんに会ったんだ
ああ、やっぱり兄弟だから似てた
似てないわよ
六十部は少しムッとして、腕を組んだ。
まぁ、良いタイミングで帰ってきたわね
どういう意味だ?
想定外な問題が起きたの、二つほどね
二つ?
その点において、あなたは大丈夫でしょうね
大丈夫だよ、紗良ちゃん。私が保証するよ
そう
そう言うと小斗は腕に巻き付けた白い布を見せた。六十部はその白い布を見て何か納得したようだ。
鮫野木にはその行動の意味が分からないでいた。
何それ?
言ったでしょう。あなたがいない間に想定外な問題が二つあったの、この布は、その対象の一つ
六十部は腕をまくり、小斗と同じ白い布を見せつける。
それが、その布か?
そうよ
何があったんだ?
六十部は腕を下ろした。
私達の偽物が現われたの
偽物!
俺が居ない間に偽物が現われていたのか。その対処法として白い布を腕に巻いているんだな。そして偽物が現われたから、久賀は俺の事を本物か偽物と質問したんだな。
鮫野木は驚きながらも、何処か引っかかっていた疑問が解消した。